リフォームの基礎知識と費用の相場

新築物件はリフォーム可能?建売住宅をリフォームするメリットと背景

新築物件を購入したばかりでも、「水回りが使いにくい」「家を長持ちさせたい」などの理由でリフォームを検討するケースは少なくありません。この記事では新築物件、特に建売住宅のリフォームが可能かどうかを解説し、そのメリットや注意点を詳しくお伝えします。各種支援制度もご紹介しますので、新築物件のリフォームを検討している人や、新築物件の購入と中古物件のリフォームに悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

新築物件のリフォームに関する基礎知識

新築物件のリフォームを検討している人の中には、そもそもリフォームが可能なのかどうか疑問に思っている人も多いでしょう。まずは、新築物件のリフォームの可否や注目されている背景を解説します。

新築物件のリフォームはできる?

新築物件であってもリフォームは可能です。例えば、キッチンを使い勝手の良い高機能な設備に入れ替えたり、内装を自分好みにアップデートしたりすることで、新築の住まいがより快適な空間へと生まれ変わります。

なお、間取りや住まいの構造自体を変更する場合には注意が必要です。新築物件を提供する業者には10年間の契約不適合責任の義務付けがあります。契約不適合責任とは、物件に瑕疵(欠陥)があり、契約内容に適合しない引き渡しを行った際に売主側が無償修理などを負担する責任のことです。リフォームによって基本構造部分を変更すると、契約不適合責任が適用されなくなり、保証を受けられなくなるおそれがあります。

新築物件のリフォームが注目されている背景

新築物件のリフォームが注目されている背景には、完成済みの建売住宅を購入し、アレンジしたいというニーズがあることが考えられます。新築物件の入手方法には建売住宅と注文住宅の2種類がありますが、一から住まいを設計するのではなく、住んでみてから間取りや内装を自分好みにしたい人がいます。また、設備の使いにくさや部屋不足、生活動線がうまく機能していないなど、実際に住んでから不満に気づく場合もあるため、リフォームはそれを解消する有効な手段です。

新築の建売住宅をリフォームするメリット・デメリット

新築物件をリフォームするシチュエーションとして一般的なのは、新築で建売住宅を購入するケースです。ここでは、新築の建売住宅をリフォームする場合のメリットとデメリットをご紹介します。

新築の建売住宅をリフォームするメリット

一般的に、建売住宅を購入してリフォームしたほうが、注文住宅を建てる場合と比べて費用を抑えやすい傾向にあります。建売住宅は、大規模分譲地に建てられた一戸建てなど、部材の規格化などによりコストを抑えて建築されたものが多くあります。そのため、一から設計する注文住宅と比べて価格が安く、不便な部分だけリフォームすることで全体的なコストを削減可能です。

また、建売住宅のほうが工期は短期間で済む傾向にあり、注文住宅よりも早く新居で生活できるメリットもあります。建売住宅の場合、物件自体はすでに完成しており、必要な工期はリフォーム工事の期間のみになるためです。

新築の建売住宅をリフォームするデメリット

新築の建売住宅をリフォームする場合は、建物の構造によっては間取りの変更などの大がかりな改修工事は対応できないケースがあります。例えば、居室の間仕切りをすべて撤去してリビングを広くしようとしても、構造上撤去できない柱や壁がある場合にはリフォームできません。注文住宅を建てるケースと比べると間取りの自由度は低いため、細かな希望がある場合は注文住宅を選んだほうが安心です。

また、リフォーム内容によっては予算をオーバーする可能性がある点にも注意しましょう。リフォーム箇所を増やし過ぎると、注文住宅と変わらない費用になってしまうおそれがあります。

新築物件の購入・リフォームに利用できる主な支援制度

続いては、新築物件の購入やリフォームに利用できる支援制度をご紹介します。計画に適した制度を活用することで資金面の負担を軽減できるため、この機会にチェックしておきましょう。

税金の優遇制度

主な減税制度として住宅ローン減税やリフォーム減税、贈与税の非課税措置などがあります。どれも新築物件の購入だけではなく、中古物件のリフォームの際にも利用できます。住宅ローン減税は、借入期間が10年以上の住宅ローンを利用する際に、年末のローン残高の一部が所得税や住民税から控除される仕組みです。新築物件の場合は環境性能に応じて借入限度額の上限がアップし、リフォームの借入限度額は一律2000万円となっています。

また、リフォーム減税は特定のリフォーム工事を実施した際に所得税や固定資産税の控除を受けられる補助制度です。具体的には、耐震リフォームや省エネリフォーム、長期優良住宅化リフォームなどが対象です。さらに、贈与税の非課税措置を活用すれば、新築物件の購入やリフォームを目的として贈与された資金について、一定額まで非課税となります。非課税となる金額は物件の品質に応じて変動します。

補助金制度

住宅のリフォームに利用できる補助金制度には、長期優良住宅化リフォーム推進事業や住宅エコリフォーム推進事業などがあります。長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅の性能向上を図るリフォームに対する支援事業です。長期優良住宅認定を取得すると、最大200万円の補助を受けられます。また、住宅エコリフォーム推進事業は、住まいの省エネ性能をアップさせるリフォームを実施する際に受けられる補助金制度です。既存住宅の長寿命化や省エネ化のために行うリフォームに補助金が出される制度が多い傾向にあります。

自治体による支援制度

国が行っている支援のほか、地方自治体が独自に支援制度を用意しているケースも多いため、新築物件の購入やリフォームを検討している場合は確認してみると良いでしょう。特に、耐震や省エネについては、年間を通して支援を実施している自治体も少なくありません。また、高齢化社会に対応するため、バリアフリーリフォームを支援している地域もあります。

新築物件のリフォームについてよくある質問

次は、新築物件のリフォームに関してよくある質問にお答えします。リフォーム計画を立てる際の参考にしてください。

新築のリフォームの見積もりのみを依頼して、工事を行わなくても良い?

新築のリフォームにどのくらいの金額がかかるのか気になる場合は、見積もりを頼むだけでも基本的に問題ありません。見積もりまでであれば無料で行ってくれるリフォーム会社が多いため、より条件の良い依頼先を探すために相見積もりを取るのがおすすめです。

新築のリフォーム工事の途中で追加料金は必要になる?

新築物件のリフォーム工事中に追加料金が発生する可能性はあります。特に、お風呂やキッチン、トイレなど水回りのリフォームは追加料金がかかりやすい傾向にあります。追加料金については、業者との事前打ち合わせでしっかり話し合うと良いでしょう。

新築のリフォーム工事の工期はどのくらいかかる?

リフォーム工事の工期は施工内容によって変わります。外壁や屋根などの大規模なリフォームや、施工箇所が多い場合は工期が長くなりやすい傾向にあります。業者に現地調査に来てもらった際にスケジュールを確認しておくと良いでしょう。

新築物件に住みながらリフォームできる?

部分リフォームであれば住みながらリフォームできます。部分リフォームとは、間取りを変更せずキッチンを新しいものに交換したり、子供部屋の内装を変更したり、家の一部分の取り替えや改修を行うリフォームです。フルリフォームなどの大規模なリフォームを行う場合は、仮住まいへの引っ越しが必要な場合もあります。

新築のリフォームでもローンは組める?

リフォームだけでもローンを組むことは可能です。リフォーム専用のローンもあり、短期間で審査結果が出ることが多い傾向にあります。ローンはリフォーム費用の目安をある程度確認できたら申し込みできます。ローンの審査には本人確認ができるもの、所得の証明書類、物件関連資料などが必要です。

「新築物件の購入」vs「中古物件のリフォーム」どちらを選ぶべき?

新築物件の購入と中古物件のリフォームで迷っている場合は、自分がどちらに向いているかを確認するのがおすすめです。ここでは、それぞれに向いている人の特徴を解説します。

新築物件の購入が向いている人の特徴

新築物件の購入は、比較的予算に余裕があり、使い勝手の良さや品質の高さを求める人に適しています。新築物件は、中古物件と比べて耐震性や断熱性が高く、設備も性能の高い新しい製品が揃っています。構造上の問題も起こりにくいため、将来的なメンテナンスの心配も少ないのが特徴です。

また、すでにある程度の広さの土地を所有している人にも新築物件の購入をおすすめします。土地の購入費用が必要ないため、コストを抑えて自分好みのデザインの家を建てられます。なお、新築で物件を実際に確かめてから購入したい人には建売物件がおすすめです。

中古物件のリフォームが向いている人の特徴

中古物件のリフォームは、なるべく費用を抑えたい人に適しています。耐震上の問題や構造に大きな傷みなどがなければ、新築物件を選ぶよりも中古物件を購入してリフォームしたほうが費用を抑えやすくなります。また、希望するエリアや立地に関する条件が明確な場合も中古物件のリフォームがおすすめです。中古マンションのほうがエリアや立地条件の選択肢が多いためです。新築物件の場合、土地がないなどの問題で住みたいエリアに建設するのが難しいケースも少なくありません。

そのほかには、親が建てた家を譲り受けた場合など、物件をすでに所有しているのであればリフォームで希望を実現するのが良いでしょう。家の建築費用がかからない分、ある程度大がかりなリフォームを実施しても総合的なコストを抑えられます。