リフォームの基礎知識と費用の相場

住宅のリフォームの進め方|費用の目安と補助金制度

家は人生における大きな買い物ではあるものの、長い年月が経過すると建物や設備が老朽化したり、住まいに不満点が生じたりします。このような問題を解決し、より快適な生活を送るためには、住宅のリフォームが有効です。また、近年はリフォームを前提として中古物件を購入するケースも少なくありません。今回は、住宅リフォームの進め方や費用の目安、実例と工事金額、リフォーム資金に利用できる補助金制度の形式や申請時の条件などについて解説します。

住宅のリフォーム工事を進める流れ

住宅のリフォームをスムーズに完了させるには、一定の手順に沿って進めるのが効率的です。こちらでは、住宅のリフォーム工事の基本的な流れを解説します。

Step1.リフォームの内容をイメージする

最初に、家族で意見を出し合い、家のリフォームの内容を決めましょう。現状の住まいにおける不満点や不便に感じている場所をできるだけ具体的に洗い出すのがポイントです。例えば、「断熱が不十分」「水まわりが使いづらい」などの不満はよく挙げられます。また、リフォームは将来を見越したうえで計画を立てることも重要です。家族構成の変化やバリアフリーの必要性なども考慮しましょう。

Step2.リフォームの予算を決め、依頼先を探す

次に、リフォームの予算を決め、依頼先のリフォーム会社を探しましょう。希望する工事内容に対して予算が不足している場合は、住宅ローンやリフォームローンの利用も検討します。リフォームローンとは、中古住宅の修繕や改修工事などを実施する際に活用できるローンのことです。住宅ローンと比べて気軽に融資を受けやすいため、資金計画が立てやすくなります。また、この段階では、比較検討するために複数のリフォーム会社を依頼先の候補として選んでおくと良いでしょう。

Step3.住宅の調査を実施する

続いては、リフォーム会社に依頼して住宅の現地調査を行います。現地調査は、リフォーム会社に家の状況を確認してもらうプロセスです。担当者が依頼者にヒアリングを行ったうえで、リフォーム予定の場所の採寸や写真撮影を行います。工事内容の決定や見積書の作成に欠かせません。また、現地調査の際には、より良いプランを提示してもらうために相見積もりを取る予定である旨を伝えておくのがおすすめです。

Step4.見積もりやプランを比較し、リフォームを依頼する会社を決める

次のステップでは、リフォーム会社から提示された見積もりやプランを比較し、工事を依頼する会社を決定します。見積書を比較する際は、工事費用だけではなく工事期間や使用される設備、建材、担当者の対応などの要素を総合的に考慮することが大切です。リフォームを安心して任せられる会社を選びましょう。

Step5.リフォームの工事を開始する

次に、リフォーム会社と契約書を交わしたら、予定された期日に工事が開始されます。工事内容によっては一時的な引越しが必要になるケースもあるため、着工前に仮住まいを探しておきましょう。また、リフォームの規模が大きい場合は騒音やほこりなどが発生し、周辺住民に迷惑をかける可能性があります。後々のトラブルを防ぐためにも、事前に挨拶しておくのがマナーです。

Step6.リフォーム工事の完了後、引き渡しを受ける

最後に、リフォーム工事が完了したら施工業者から引き渡しを受けます。この際、担当者立ち会いのもとでリフォームの仕上がりを確認し、ミスや不具合、契約内容との相違点などがないかをチェックしましょう。完了検査を担当者任せにしてしまうと、後から不具合が見つかった場合にトラブルになる可能性があるため注意が必要です。工事内容に問題がなければ、アフターフォローについて確認し、引き渡し書類にサインをするとリフォームは完了となります。

住宅リフォームに利用できる主な補助金・減税制度

住宅リフォームを実施する場合、工事内容によっては補助金や減税制度を利用できる可能性があります。こちらでは、住宅リフォームに利用できる各種制度の特徴や注意点などをご案内します。

リフォームに利用できる主な補助金制度

  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境の整備のために行うリフォームを支援するための制度です。原則1戸につき100万円~200万円を限度に、補助対象費用の3分の1が補助されます。補助金を受け取る要件には、耐震性や劣化対策、省エネルギー性の確保などが含まれます。また、工事前にはホームインスペクションを実施する必要があるため注意しましょう。ホームインスペクションとは、専門家による住宅の劣化状況や補修すべき箇所のチェックのことです。

なお、長期優良住宅化リフォーム推進事業には、補助金額の上限が100万円である「評価基準型」と、200万円の「認定長期優良住宅型」の2種類があります。令和5年度の場合、評価基準型の交付申請は5月2日時点で締め切られているため注意しましょう。

  • こどもエコすまい支援事業

「こどもエコすまい支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした、住まいのリフォームや注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入に関する助成金制度です。リフォームの場合、原則1戸あたり5万円〜30万円の補助を受けられます。エコ住宅設備の設置や開口部の断熱リフォーム、防災性向上改修など、対象となるリフォーム工事の幅が広いのが特徴です。ただし、対象工事には必須工事と任意工事があり、任意工事について補助金を受け取るには、必須工事も併せて実施する必要があります。

  • 給湯省エネ事業

「給湯省エネ事業」は、高効率給湯器の導入支援に関する補助金制度です。住宅リフォームを行う際、設置する給湯器の性能に応じて1台あたり最大15万円の補助金を受け取れます。ただし、一戸建ての場合は2台、マンションの場合は1台までという制限が設けられているため注意しましょう。また、給湯器を購入するケースだけでなく、6年以上のリース契約を結ぶ場合も補助金の対象となる可能性があります。

  • 先進的窓リノベ事業

「先進的窓リノベ事業」は、窓の断熱改修に対する補助金制度です。断熱性能の高い窓への交換や内窓の設置などの工事を行う場合に補助金交付を受けられます。具体的な補助金額は、窓の性能やサイズに応じて変わってくるため、詳細は公式ホームページでご確認ください。マンションの場合、共有部分である窓枠の交換は基本的に行えませんが、こちらの制度は窓ガラスのみの交換でも補助対象となるため安心です。

  • 住宅エコリフォーム推進事業

「住宅エコリフォーム推進事業」は、省エネ性能の高い住宅への改修に関する支援制度です。具体的には、LED照明の設置や断熱リフォーム、高効率給湯器の設置など、さまざまな工事が対象となっています。補助率は設計費と改修工事費を合算した額の40%で、補助限度額は1戸あたり35万円です。ただし、こちらの制度は令和5年度の補助金申請額が7月3日の時点で予算上限に達しています。次年度以降の予定はまだ決まっていないため、随時情報をリサーチしておくのがおすすめです。

  • 介護保険における住宅改修

要支援、もしくは要介護者のための住宅改修には、介護保険が利用可能です。主な対象工事には、手すりの設置や段差の解消、洋式便器の設置などがあります。支給限度基準額は20万円で、基本的に9割が保険給付、1割が自己負担です。介護保険を利用した住宅改修は原則1人1回ですが、支給限度額内であれば複数回申請できる場合もあります。ただし、申請者である要支援・要介護者がリフォームを行う住宅に定住している必要があり、介護施設などに入居している場合は対象外となるため注意しましょう。

住宅リフォームに使える補助金には、自治体や地方公共団体が実施しているものも多くあります。地域によって申請できる工事内容や申請受付期間などが異なるため、リフォームを計画する際は居住地の制度を確認してみると良いでしょう。

リフォーム時に役立つ主な減税制度

  • 所得税の控除

所得税控除は、耐震改修や省エネリフォームなど、特定のリフォームを実施する場合に利用できる減税制度です。控除期間は1年で、リフォームの内容に応じた金額がその年の所得税から控除されます。所得税控除を利用する際は、実際の工事費用ではなく、国土交通省が定めた「標準的な工事費用」を基準に控除額が決まる点に注意しましょう。

  • 固定資産税の減額

住宅リフォームの完了後、3カ月以内に市町村などに申告書類を提出すると、不動産にかかる翌年度分の固定資産税が減額されます。耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化、マンションにおける大規模修繕リフォームの5種類が対象工事です。固定資産税の軽減額は工事内容ごとに異なります。

  • 住宅ローン減税

住宅ローンやリフォームローンを使って改修工事を行った場合は、住宅ローン減税が利用できます。具体的には、バリアフリーリフォームや増改築工事などが対象で、年末のローン残高の0.7%が所得税から控除されます。所得税控除と比べて、控除期間が最大10年間と長いのが特徴です。

  • 贈与税の非課税措置

満18歳以上の方が家族からリフォームのための資金を贈与された場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。対象工事は、基本的に所得税控除や住宅ローン減税の場合と同様です。ただし、申請者が所有者であり、かつ居住者である住宅のみが対象となります。