リフォームの基礎知識と費用の相場

壁紙のリフォーム費用の相場は?コストを抑えるコツ

壁紙の黄ばみや汚れは部屋の印象を損なうため、適切なタイミングでリフォームすることが大切です。ただし、壁紙のリフォームに関する知識が不足していると、自分に合ったリフォーム業者が見つけられず、仕上がりが満足いくものにならなかったり、リフォーム費用が増加したりする可能性があります。

そこで本記事では、壁紙のリフォームに関する基本的な知識や、コストを抑えるためのヒント、DIYリフォームの手順などを解説します。壁紙のリフォームを検討中の方は、ぜひご確認ください。

壁紙のリフォームに関する基礎知識

壁紙の経年劣化は防ぐことができないため、数年ごとにリフォーム(クロスの張り替え)を行う必要があります。まずは、張り替えを行うタイミングやリフォーム工事の注意点、壁紙の種類について解説します。

壁紙のリフォームを行う時期・タイミングの目安

壁紙のリフォームタイミングは、新築時もしくは前回のリフォームから5年~10年が経過した頃が目安とされています。ただし、壁紙の種類や環境によっても適切なタイミングは異なり、以下のような環境では壁紙の劣化が早まることがあります。
・喫煙者がいる
・ペットを飼っている
・居住人数が多い
・部屋の湿度が高い
また、一般的な目安に関わらず、壁紙リフォームを検討したほうが良いタイミングもあります。主なタイミングの例は以下の通りです。

・壁紙が広範囲で破れている
・カビが生えている
・色あせや変色が目立つ
・毛羽立ちやささくれがある
・劣化や経年焼けで家具の跡ができている
・消臭や防水の効果が薄れていると感じる
・部屋の雰囲気と壁紙が調和していないと感じる
・現在の壁紙に飽きを感じている など

これらのサインが見られる場合は、壁紙のリフォームを検討してみましょう。部屋の雰囲気が改善され、住み心地が良くなります。

壁紙のリフォーム工事を行う際の注意点

現在の住まいが賃貸物件やマンションであるならば、入居時の契約書と規約を確認しましょう。貸主や管理会社によってリフォームに関するルールは異なっており、許諾が必要になるケースもあります。また、退去時に原状回復が必要になることがあるため、事前の相談なしに大規模な張り替えを行うのは危険です。

なお、居住形態に関わらず、リフォーム会社選びは慎重に行いましょう。施工費が相場より安すぎる場合は、品質やサービスに問題がないか確認してください。その際は、リフォーム会社の施工事例や口コミなどを参考にすることをおすすめします。

壁紙の主な種類

壁紙にはさまざまな種類があり、使われている素材によって特徴や機能などが異なります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、リフォームの目的を明確化した上で、比較して選ぶと良いでしょう。

例を挙げると、オレフィン壁紙は子どもの健康に配慮したい方に適している可能性があります。オレフィン壁紙は塩化ビニールを使用しておらず、有毒性のガスがほとんど発生しないためです。一方で、施工に慣れた業者が少なく高価な素材なので、リフォームを安く済ませたい方には不向きです。自分の希望やリフォームにかけられる予算などを考慮して、適した壁紙を選ぶことが重要です。

壁紙のリフォーム費用の相場

次に、壁紙リフォームの費用相場についてお伝えします。壁紙リフォームの費用相場は、壁紙の種類、施工範囲、地域によって異なりますので、目安としてお考えください。また、壁紙の単価には平米単価(㎡)とメートル単価(m)の2種類の表記方法があるため、混同しないよう注意が必要です。なお、量産品の一般的な壁紙は「スタンダードクロス」と呼ばれ、デザインが豊富でスタンダードクロスよりも高性能なクロスは「ハイグレードクロス」として知られています。

広さ別の壁紙リフォーム費用相場

以下の表は、壁紙(天井を含む)リフォームの費用相場の目安です。基本的にリフォーム費用は部屋の広さとクロスの性能に依存します。ただし、部屋内の扉や窓の数によって、同じ広さでも張り替え面積が異なることに注意してください。例えば、扉や窓が多い部屋では壁紙を張る面積が減るため、かかる費用は少なくなります。

場所別の壁紙リフォーム費用相場

壁紙の張り替えをする場所(部屋)によって、リフォーム費用は異なります。例えば、キッチンの壁紙には汚れ防止機能や不燃性の壁紙を使用することが多く、施工面積に対して割高になる傾向があります。また、洗面所や脱衣所には、防カビ機能や汚れ防止機能などの付いた壁紙を使用する場合が多いです。汚れや臭いが付きやすいトイレでは、消臭機能や吸放湿機能を有する壁紙を選ぶのも良いでしょう。

マンションと戸建ての壁紙リフォーム費用相場

マンションより戸建てのほうが壁紙リフォームの相場は高い傾向があります。その理由は、すべての壁・天井をリフォームする場合、戸建てのほうが壁面積の広いケースが多いためです。実際に必要になる壁紙の面積は、マンションで250~350㎡、戸建てで450~600㎡とされています。

また、マンションと戸建てでは、使用する壁紙下地が違います。マンションはコンクリートやモルタルといった頑丈な無機質素材を使用することが多いですが、戸建てでは石膏ボードや合板(木質素材)を使用します。木質素材は壁紙を剥がす際に傷付きやすいため、下地の補修が必要になることがあります。

壁紙のリフォームを安く抑えるコツ

壁紙のリフォームにかかる費用は、部分的な張り替えだけでも数万円になります。できるだけ安く抑えるために、以下の4点をご確認ください。

事前準備をしておく

事前準備や片付けを自力で行うことで、リフォーム業者に依頼する場合の費用を抑えられる可能性があります。時間に余裕があれば、以下の方法を試してみてください。
・大型家具を移動させて荷物移動費を抑える
・自分で壁紙を剥がして処分する(壁紙剥がし費や材料処分費を節約)
・簡単な養生は終わらせておく
家具をどこに移動させるかについては、事前にリフォーム業者と相談しておきましょう。ただし、エアコンの取り外しや移動は特に難易度が高いので、できるだけプロの手を借りることをおすすめします。

壁紙の種類やグレードを見直す

必要以上に機能性やデザイン性にこだわらないようにしましょう。シンプルなデザインで良いならば、「スタンダードクロス」というグレードの無地クロスを選ぶことをおすすめします。スタンダードクロスは、賃貸物件や一軒家の子ども部屋などでよく使われる壁紙で、安価であることが特徴です。一方で、大きな柄を用いたクロスは基本的に避けたほうが良いでしょう。柄物にもメリットはありますが、つなぎ目の柄を合わせるために余分にクロスが必要になるケースもあるので、節約の観点ではデメリットが多いです。

複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する

複数社に見積もりを依頼することで、自分が住んでいる地域の施工相場を把握できます。大手リフォーム会社から地方工務店まで幅広く相見積もりを行い、料金や工事内容を比較してください。また、口コミや担当者の対応、実績の多さ、見積書の詳細などを細かくチェックすることで、自分に合ったリフォーム業者を選べるようになります。なお、基本的には内装工事を強みとする業者は壁紙の張り替えも得意なので、内装専門の職人がいるか確認するのも良いでしょう。

DIYに挑戦する

リフォーム業者に依頼せずに自分で壁紙を張り替えれば、施工費用がかかりません。壁紙や道具を購入する必要はありますが、大幅に節約することが可能です。最近では糊を使わない接着剤付きの壁紙も販売されているので、DIYを試してみるのも選択肢の一つです。また、壁紙の購入方法を工夫することも重要です。通販サイトなどにあるセール品や訳あり商品を購入することで、材料費を抑えることができます。

DIYで壁紙をリフォームする方法

壁紙のリフォーム費用を節約する方法のひとつとしてDIYを挙げました。自分で壁紙を張り替えることで大幅に費用を抑えられますが、綺麗な仕上がりにするためにはコツがあります。ここではDIYを実際に行う際に必要な道具、手順などについてまとめます。

壁紙の張り替えDIYで必要になる道具

まずはDIYを行うために必要な道具を用意しましょう。壁紙の張り替えには手間と時間がかかりますが、以下の道具を使うことで効率化することができます。また、作業中に出る粉やパテなどが部屋や家具を汚してしまうおそれがあるため、養生用品も用意しておくと安心です。

壁や床の養生に使う道具

・養生テープ
・ブルーシート(新聞紙でも可)
・エアコンを保護するビニール

壁紙剥がしと下地処理に使う道具

・霧吹き
・カッター(壁紙を張る際も使用)
・壁補修用のパテ
・パテベラ
・サンドペーパー

壁紙を張るのに使う道具

・はさみ
・メジャー
・糊
・ローラー、ローラーバケット
・刷毛(糊付け用)
・撫で刷毛(空気を抜く用)
・スポンジ
・竹ベラ
・地ベラ、定規
・ジョイントローラー

その他

・脚立
・ゴミ袋 など
なお、シール式や糊が付いている壁紙を使う場合は、のり、ローラー、ローラーバケット、のり付け用の刷毛、スポンジは不要です。

壁紙の張り替えDIYの大まかな手順

Step1.養生を行う

まずは壁紙の張り替えに入る前に、床や家具を保護する下準備を行います。作業中に出てくる粉や糊が工事箇所以外に付着してしまうことがあるため、ブルーシートやテープなどを使用して保護しましょう。部屋にエアコンがある場合は、ビニールで覆い、家電やパソコンなどの精密機器は別の部屋に移動させてください。

また、エアコンの取り外しを検討している場合は、注意が必要です。エアコンの取り付けや取り外しには専門知識が必要であり、基本的には専門業者に依頼するほうが安全です。怪我や機器の故障のリスクがあるため、慎重に対処する必要があります。

Step2.既存の壁紙を剥がす

次に、古い壁紙を剥がす作業に入ります。壁紙の継ぎ目などにカッターで切り込みを入れ、指で徐々に剥がしていきましょう。注意点として、カッターを深く入れすぎないことが大切です。壁紙の下には「裏紙」と呼ばれる薄い紙があるため、できるだけ傷つけずに残すようにしてください。壁紙が剥がしにくい場合は、霧吹きで水をかけて湿らせると簡単に剥がせるようになります。

Step3.下地処理を行う

続いては、壁面を滑らかに整える「下地処理」です。傷んでいる部分を専用のパテで補修して、凸凹を取り除いていきます。裏紙が剥がれたり凹んだりしている部分にパテを塗り、パテベラで段差を埋めるようにしてください。パテが乾燥したら、サンドペーパーを使って平らになるまで研磨します。この段階で凸凹が残ると、最終的な仕上がりが綺麗にならないので注意が必要です。

Step4.壁紙を張り替える

壁の寸法をメジャーで測り、新しい壁紙をはさみやカッターなどでカットします。この際、寸法通りにカットするのではなく、上下に5センチほどの余裕を残すことが大切です。次に、糊を塗るための刷毛を使って壁紙の裏面(または壁面)に糊を塗り、壁紙を壁に貼り付けます。隅やコンセント周りはカッターで切り込みを入れて微調整してください。最後に、撫で刷毛を使って気泡やシワができている箇所を整えます。

壁紙の張り替えDIYを行う際の注意点

壁紙の張り替えは時間と手間のかかる作業なので、無理のない範囲から始めることが大切です。下地処理や切り込みなど、初心者には難易度の高い作業もあるため、まずは壁の一部分だけ試してみるのも良いでしょう。また、場所によっては複雑な作業を要したり、怪我をしたりする危険性もあるので、十分に注意してください。

壁紙のリフォームでよくある質問

続いて、壁紙のリフォームに関するよくある質問を4つご紹介します。なお、工期やリフォーム費用については、選ぶ壁紙のグレードや家の構造、依頼したリフォーム会社の方針などに左右されるため、目安としてご参考ください。

壁紙のリフォームに必要な工事日数の目安は?

壁紙のリフォームにかかる時間は、張り替える面積や下地の補修の必要性など、具体的な状況によって異なります。一般的には、約10㎡の部屋(6畳間相当)を対象にした場合、作業は1~2日ほどで完了します。ただし、家具をそのまま残した状態で依頼した場合や下地が劣化している場合には、通常よりも時間がかかることがあります。

壁紙などの材料費以外にもリフォーム費用はかかる?

工事業者に依頼する場合は、材料費以外にも施工費用がかかります。工事業者に見積もりを依頼するなどして内訳を把握しておきましょう。リフォーム費用の内訳は以下の通りです。

・工事費(職人の人件費や交通費)
・荷物移動費
・養生費
・壁紙剥がし費
・下処理費(下地の補修費用)
・材料処分費

また、壁紙の張り替え範囲や方法によって金額は異なります。例えば、既存の壁紙を剥がしてから新しい壁紙を張る方法は、既存の壁紙の上に重ね張りする方法より割高になりやすいです。同様に、天井やドア、窓周りでの壁紙張り替え作業では、枠およびサッシの取り外しや取り付けが必要になる場合があり、それに伴って作業時間も増えやすくなります。

壁紙をリフォームする際の職人の人件費の目安は?

1日あたりの職人の人件費の目安は、2.5万〜3万円程度です。具体的な価格は、見積書を依頼する際に業者に確認すると良いでしょう。また、複数の施工箇所がある場合は、まとめて依頼することで職人の交通費などを削減することができます。

部屋をおしゃれにする壁紙を選ぶポイントは?

部屋をおしゃれにするためには、壁紙のリフォームにおいて以下の3点に注意が必要です。

・厚めの壁紙にする
・インテリアや床との色のバランスを考える
・シンプルなデザインを選ぶ

厚い壁紙を選ぶ理由は、壁の下地に多少の凹凸があっても、壁紙を綺麗に貼り付けることができるからです。風合いにこだわりなどがなければ、ビニールクロスと呼ばれるベーシックな素材を選ぶと良いでしょう。色やデザインに関しては、居住空間の雰囲気に馴染むシンプルな壁紙がおすすめです。ただし、特定の壁面にアクセントを加えるために柄物の壁紙を使う手法も考えられます。

※費用や工期はあくまで目安です。実際の費用や工期については各リフォーム工事店へお問合せください。
※各種保険、補助金等、助成金については変更及び終了になる場合があります。各運営団体ホームページなどでご確認下さい。