リフォームの基礎知識と費用の相場

マンションのキッチンリフォームの費用と工期の目安

マンションのキッチンリフォームは、一戸建と比べて制約が多いとされています。そのため、理想のキッチンを実現するために、「賃貸物件でどこまでリフォームできるのか」、「リフォーム費用はどの程度か」などと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

本記事では、マンションで可能なキッチンリフォームの内容や費用相場、工期の目安、注意すべきポイント、リフォーム事例などを解説します。マンションにお住まいでキッチンリフォームを検討している方は、ぜひご確認ください。

マンションのキッチンリフォームで可能な工事内容

まずは、マンションのキッチンリフォームにおいて一般的な工事内容を3つ紹介します。ただし、マンションによって実施できる工事は異なるため、リフォームの詳細な計画を立てる前に、まずはマンションの管理規約や契約書を確認することをおすすめします。

設備のリフォーム

設備のリフォームとは、コンロや収納棚などキッチン設備本体の交換や設置を行うことです。例えば、古くなったシステムキッチンを最新の製品に交換することは、設備のリフォームに当たります。また、コンロやシンク、ビルトイン食器乾燥機など部分的な設備の交換・設置に関しても、設備のリフォームに該当します。劣化した設備だけを交換するリフォーム方法なので、価格は安価です。

キッチン周辺の内装のリフォーム

水はねや油はねによる汚れや劣化などが気になる場合に、キッチン設備本体の交換と併せて、キッチン周りの床や壁の張り替えを行うリフォームです。内装のリフォームを行うことで、機能性だけでなく空間のデザイン性が高まるメリットがあります。例えば、キッチンとリビングの床材を同じものに張り替えることで、デザインに統一性が出ます。また、生活動線上にある小さな段差を、床の張り替えによりフラットな状態にできるので、バリアフリーな空間作りにも役立ちます。

キッチンのレイアウトのリフォーム

レイアウトのリフォームとは、キッチンの位置の移動やキッチンのスタイルを変更することを指します。例えば、壁付けのキッチンを対面式キッチンへ変更したり、キッチン周りの壁を撤去したりすることは、レイアウトのリフォームに当たります。大規模な変更により開放的な空間を演出できるのはメリットですが、工事費用が高額になりがちなのはデメリットです。また、マンションの構造によってはリフォームが認められないので、事前にオーナーや管理会社に確認を取る必要があります。

マンションのキッチンリフォームにかかる費用相場

マンションのキッチンリフォームの費用相場は、工事内容で大きく変わります。工事が大がかりになるほど価格も高くなりやすいです。

キッチンの設備を部分的にリフォームしたときの費用相場

キッチンの設備を部分的にリフォームするためには、数万円〜50万円ほど必要です。コンロやレンジフード(換気扇)、食洗機、シンク、水栓の交換など、部分的な設備のリフォームの場合は安価になる傾向があります。なお、ミニキッチンの交換に関しては、部分的なリフォームの中では高い部類に入りますが、それでも50万円未満で工事できる場合があります。

システムキッチンを交換したときの費用相場

I型キッチンの費用相場

I型キッチンとは、調理スペース、シンク、コンロが真っすぐに配置された、一般的なキッチンタイプのことを指します。キッチン交換にかかる費用は、おおよそ45万円〜100万円です。他のキッチンタイプと比べるとシンプルな作りなので、コンパクトなスペースにも設置しやすく、リフォーム費用も安いです。

L型キッチンの費用相場

L型キッチンとは、設備がL字形に配置されたキッチンタイプです。キッチン交換にかかる費用は50万円〜150万円ほどで、I型よりもやや高いです。L型キッチンのメリットとしては、冷蔵庫・シンク・コンロの作業動線が三角形(ワークトライアングル)になっているため、移動距離が少なく、作業効率が良いことが挙げられます。

ペニンシュラ型キッチンの費用相場

ペニンシュラ型キッチンとは、対面式キッチンの一種で、カウンターの片側だけが壁と接しいます。費用相場は87万円〜270万円と幅広いですが、多くの方は150〜200万円の製品を選ぶ傾向があります。ペニンシュラ型キッチンの代表的な特徴は、見通しの良さと開放感です。視線をリビングに向けやすく、小さなお子様がいても安心して料理ができます。

アイランド型キッチンの費用相場

アイランド型キッチンとは、対面式キッチンの一種で、キッチンスペースの中央近くに独立して配置されたタイプです。費用相場はスタンダードタイプで100万円〜200万円、ハイグレードタイプで175万円〜350万円ほどです。他のタイプと比べて高価なのはデメリットですが、おしゃれなLDKを演出する上で多くのメリットがあります。開放感やコミュニケーションの取りやすさ、スタイリッシュな雰囲気などに優れており、キッチンスペースを自分好みに仕上げられます。

キッチン周辺の内装をリフォームしたときの費用相場

キッチンの広さや張り替える材質などで価格は変わります。ただ、キッチン周辺の床と壁紙を一緒に張り替える場合は、おおよそ4万円〜5万円程度に収まります。ただし、リビングの床も一緒に張り替える場合は、その分の費用が上乗せされます。

キッチンのレイアウトを大幅に変更したときの費用相場

おおよそ20万円~300万円です。既存キッチンを移動させるだけならば、50万円未満で実施できる可能性もありますが、キッチン本体をハイグレードなもの交換したり、壁付けタイプから対面式へリフォームしたりすると、費用は高くなりやすいです。

マンションのキッチンリフォームにおける工期の目安

マンションのキッチンリフォームにはどれくらいの期間が必要なのでしょうか。ここでは、工期の目安とリフォーム工事中のおすすめの過ごし方についてご紹介します。

キッチンのリフォームにかかる工期の目安

キッチンのリフォームにかかる工期は、施工内容や工事の規模によって変わります。以下では、3つのパターンに分けて工期の目安を説明します。

1つ目は、キッチンの入れ替えです。古いキッチンを新しいものに交換するだけであれば、2〜6日間ほどで完了するでしょう。キッチンの解体と取り付けは1〜2日程度で、そこに電気・配管工事やカップボード(食器棚)の取り付けなどが加われば1週間近くかかります。水栓を占める時間帯はありますが、水道が使えない期間は1〜3時間ほどです。

2つめは、内装の変更まで含めたキッチンリフォームで、完了までは4日~1週間ほどかかります。キッチンの入れ替えに加え、キッチン周りの壁紙や床材を張り替えるため、キッチンの見た目が大きく変わります。

3つ目は、キッチンの移動やレイアウトの変更を伴うリフォームです。最も大規模なリフォームであり、工期は2週間以上、長ければ3ヶ月ほどになります。レイアウトの変更に伴って各種の配線工事が発生するため、長期間キッチンが使えません。

キッチンのリフォーム工事中の過ごし方

工事期間中はキッチンを使用できず、通常のように料理をすることができません。多くの人は外食、総菜、フードデリバリーなどを利用しますが、工事期間が長いほど食費がかさんでしまいます。

このような状況で食費を節約する方法として、キッチン以外の部屋で卓上用の調理器具や調理家電を利用することが有効です。例えば、卓上用のIHクッキングヒーターやホットプレート、電子レンジなどを活用すれば、簡単な料理を作ることができます。自炊が難しい場合には、冷凍食品を頼ることも一つの選択肢です。

マンションのキッチンリフォーム時の注意点

工事期間中はキッチンを使用できず、通常のように料理をすることができません。多くの人は外食、総菜、フードデリバリーなどを利用しますが、工事期間が長いほど食費がかさんでしまいます。

このような状況で食費を節約する方法として、キッチン以外の部屋で卓上用の調理器具や調理家電を利用することが有効です。例えば、卓上用のIHクッキングヒーターやホットプレート、電子レンジなどを活用すれば、簡単な料理を作ることができます。自炊が難しい場合には、冷凍食品を頼ることも一つの選択肢です。

マンションのキッチンリフォーム時の注意点

マンションのキッチンリフォームは、一戸建てと比べて制限が多いです。マンションの管理規約に従うことが不可欠であり、希望通りのリフォームができない可能性もあるでしょう。ここでは注意すべきポイントを4つご紹介します。

事前に管理規約を確認する

マンションの管理規約には、リフォームに関する制約が記載されていることがあるため、事前に確認することが重要です。一般的には、床材の材質や電気容量、設備の新設・増設に関する確認事項など、リフォーム時に守るべきルールが明記されています。また、リフォーム工事を始める前に、管理組合への報告が必要となるケースもあります。この際、リフォームプランの見直しを求められることもあるため、諸々の制約については事前にリフォーム会社とも共有しておくと良いでしょう。オーナーや管理会社との関係を良好に保つためにも、管理規約を遵守できるようにしてください。

レイアウト変更の可否を確認しておく

キッチンの場所を変更する場合は、どの程度の移動が可能なのか把握しておきましょう。建物の構造によっては、排水管や水道管が床下に固定されていることがあるので、シンクを移動できない可能性があるのです。他にも撤去できない構造壁や電気の配線、梁の位置や大きさなどもレイアウト変更の自由度に影響します。これらの構造を個人が調査することは困難なので、まずはリフォーム業者に相談することをおすすめします。

電力不足が起こらないか確認する

コンロをガスコンロからIHクッキングヒーターへ変更する場合、管理組合への確認が必要になることがあります。なぜならば、マンションではそれぞれの住戸に対して電力供給量に上限が設けられていることが多く、電力を使用するIHは使えない可能性があるからです。工事によって電気容量を上げることはできますが、IHへの変更に手間がかかる点には注意したほうが良いでしょう。また、電気工事自体が不可能なマンションもあるので、IHの導入を検討している方は、管理会社に増設工事の可否を確認してみてください。

近隣への配慮を忘れない

​​工事に伴う作業音や機材の搬入によるトラブルを避けるために、近隣住民への配慮は欠かせません。工事が始まってからは、マンションの共用スペースを占領する可能性もあるため、近隣住民にはあらかじめ工事の予定を伝えることが大切です。そのため、少なくとも部屋の両隣と上下階の住人に対しては、工期の目安や工事内容、騒音が考えられることなどを説明しておくと良いでしょう。また、マンションでの施工実績が豊富な業者を選ぶことで、近隣住民への負担を軽減できる可能性があります。