リフォームの基礎知識と費用の相場

古民家リフォーム|工事別の費用相場と利用できる補助金制度

昨今は古民家再生が注目されています。地域に残された古民家を活用して、昔ながらの建物の雰囲気を生かしながら、自分たちらしい家づくりをしてみたいと憧れている方もいるでしょう。そこで気になるのが、古民家のリフォーム方法です。古い建物でも現代の生活に合わせて全面リフォームすることで、使い勝手や安全性が改善され、より快適に暮らしやすくなります。

この記事では、古民家をリフォームして住まいとして活用したい方へ向けて、リフォームのメリットや工事のポイントを解説します。風情ある古き良き木造の建物での暮らしを実現するために、ぜひチェックしてみてください。

古民家をリフォームして住むメリットと注意点

古民家をリフォームすると、昔ながらの空間をおしゃれに生かしながらも、快適に暮らしやすくなります。ただし、リフォームに関してはいくつか注意しておきたい部分も。まずは、古民家リフォームのメリットと注意点を確認してみましょう。

古民家をリフォームして住むメリット

古民家には、古い建物ならではの自然素材を生かした味わいがあり、新築とは異なる魅力を楽しめます。日本家屋には現代の住宅とは異なる建築手法が用いられることが多く、縁側や吹き抜けといった独特の構造を持つ建物も珍しくありません。また、古民家のなかには現在では貴重となった古材を使用して施工されている建物も存在します。リフォームすることで、こうした伝統工法の良さを大切にしながら、強度を高めて心地良く住める家造りができるのがメリットです。

古民家をリフォームして住む際の注意点

古民家をリフォームして住居として活用する場合、全面的なリフォームが必要になるケースが多いといえます。建物の状態や希望するリフォームプランにもよりますが、基礎工事を含む大規模な改修が必須となるかもしれません。リフォームのコストが高額になる可能性も考えられるでしょう。また、古民家をリフォームする際は希望に沿った建物に出会うまでに時間がかかることも珍しくありません。物件探しは、時間に余裕をもって取り組むようおすすめします。

古民家のリフォーム工事で考慮するポイントと費用相場

古民家リフォームでの工事内容や必要な予算は、物件の状態やリフォームする箇所、リフォーム会社によって異なります。ここでは、古民家のリフォームで考慮すべきポイントや、工事の費用相場をご紹介します。

古民家のリフォーム工事で考慮するポイント

耐震性

古民家は古い年代に建てられているため、現行の耐震基準とは異なる旧耐震基準(=1981年5月31日まで採用されていた古い基準)で建てられている可能性があります。多くの古民家は、地震の力を逃がす「免震」という方法によって、現在の「耐震」とは異なる仕組みにより地震に耐える作りになっています。しかし、地盤や構造部分の劣化が進んでいる場合は、そのままの状態で住むのは危険なため、耐震性の見直しを検討しましょう。

断熱性

古民家は現代の住宅と比べて断熱性や気密性が低い傾向にあります。そのため、暑さ寒さの影響を受けやすく、冬は寒く・夏は暑くなりやすいのが難点です。快適に暮らすためにも、床や壁に断熱材を入れてリフォームする断熱工事を検討すると良いでしょう。

屋根や外壁

古民家の屋根が劣化していると、雨漏りや崩壊などのリスクがあるため注意が必要です。また、外壁や内装の漆喰などが劣化している場合は崩落の危険性があるので、リフォームで補修や張り替えを行うと安心につながります。

水回り

一般的に、古民家の水回りは長年にわたる汚れが蓄積していたり、設備が古くなっていたりしてそのまま使うのが難しいといえます。水回りの設備が傷んでいる場合は、全面的なリフォームが必要です。

バリアフリー化

家族構成や居住年数などの暮らし方によっては、古民家のバリアフリー工事も視野に入れましょう。古い住まいはバリアフリーを念頭に置いて設計されていないため、高い段差や急な階段などが残されていることも少なくありません。

間取りの変更

古民家はすべての居室が和室であるケースも多いため、リフォームでは畳の交換や必要に応じてフローリングへの変更を行います。古い時代の住宅は、現代の一般的な住宅とは間取りが異なります。ライフスタイルに合わせて部屋の間取り自体を大きく変更しても良いでしょう。

古民家のリフォーム工事にかかる費用の相場

ここでは、古民家のリフォーム工事にかかる費用の目安を、工事する場所や工事内容ごとにご紹介します。古民家リフォームにかかる費用の総額は、建物の状態によって大きく変わります。すでに人が住んでいて状態の良い物件であれば、500万円~700万円でリフォームできる可能性もあるでしょう。その一方で、空き家になっている多くの物件では、総額が1500万円以上となるケースも少なくありません。場合によっては、新築一戸建ての購入とそれほど変わらない金額がかかることも考えられます。

また、工事する場所ごとの費用に関しても、工事内容や規模によって金額に差が出やすいといえます。たとえば屋根や外壁のリフォームでは、採用する工法・使用する材料・施工面積などの条件に応じて費用が変わります。業者に相談した際は、具体的な施工事例を参考に、リフォーム工事にかかる費用を概算してもらうと良いでしょう。

古民家のリフォーム工事に利用できる主な補助金・減税制度

古民家リフォームでは、以下の補助金・減税などの優遇制度を使える可能性があります。最後に、古民家のリフォーム工事に利用できる主な制度の情報をお伝えします。

古民家のリフォームに利用できる主な補助金制度

先進的窓リノベ事業

住まいの窓を先進的な断熱性能を持つ窓に交換する際、リフォーム費用の補助を受けられる制度です。具体的には、内窓設置・外窓交換・ガラス交換などのリフォーム工事が対象となります。補助額は改修費用の2分の1以内で、5万円から最大200万円までです。

こどもエコすまい支援事業

子育て世帯・若者夫婦世帯の新築購入費用やリフォーム費用の補助を受けられる制度です。リフォームの場合、補助額は条件に応じて5万円~60万円となります。外壁・屋根・天井・床の断熱改修工事のほか、エコ住宅設備の設置、上記と併せて行うバリアフリー改修工事などが対象となります。

給湯省エネ事業

省エネ性能の高い高効率給湯機の設置費用の補助を受けられる制度です。リフォームも対象となります。家庭用燃料電池(エネファーム)1台につき15万円、ハイブリッド給湯機・ヒートポンプ給湯機(エコキュート)1台につき5万円が補助されます。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業

住まいのリフォームで、高性能建材を使った断熱改修工事に対する補助を受けられる制度です。住まい全体の断熱改修を行う「トータル断熱」と、居間を中心とした断熱改修を行う「居間だけ断熱」を選択できます。補助対象となる工事費用や設備の購入費用の1/3以内が補助されます。

次世代省エネ建材の実証支援事業

高性能断熱材や次世代省エネ建材を使ったリフォームで補助を受けられる制度です。外壁を改修する「外張り断熱」、室内側を改修する「内張り断熱」、玄関ドアや窓を改修する「窓断熱」の区分が設けられています。補助対象経費の1/2以内が補助されます。

長期優良化リフォーム推進事業

住宅の性能向上を目的としたリフォームで補助を受けられる制度です。住まいの劣化対策・耐震性・省エネルギー対策などで一定の性能基準を満たすことが条件となっています。補助率はリフォーム費用の1/3で、より性能の高い長期優良住宅の認定を取得すると、上限200万円までの補助を受けられます。

このほかにも、各自治体が実施しているさまざまな補助金制度を利用できる可能性があります。ぜひお住まいの地域や移住先の制度を確認してみるようおすすめします。

古民家のリフォーム時に役立つ主な減税制度

所得税の控除

住まいの省エネ改修工事を行うと、改修後の住まいに居住してから1年間にわたり所得税額の控除を受けられる制度です。耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化などのリフォームが対象となります。最大控除額は105万円です。

省エネ改修に係る固定資産税の減額措置

一定の条件を満たすリフォームを行った場合に、1年間にわたり土地や建物にかかる固定資産税の減額を受けられる制度です。戸建て住宅の軽減額は、耐震リフォームで固定資産税額の1/2、バリアフリーで1/3、省エネで1/3、長期優良住宅化で2/3となっています。

住宅ローン減税

償還期間10年以上のリフォームローンを利用した住まいの省エネ改修工事で、改修後の住まいに居住してから10年間にわたり所得税額の控除を受けられる制度です。耐震・バリアフリー・省エネなどのリフォームが対象とされ、最大控除額は140万円となっています。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

個人が住宅取得のために親や祖父母から贈与を受けた場合、一定金額まで贈与税が非課税になる制度です。住まいの修繕工事やバリアフリー改修工事、省エネ改修工事などのリフォームも対象となります。非課税枠は、高性能な住宅の場合で1,000万円、一般の住宅の場合で500万円です。

※費用や工期はあくまで目安です。実際の費用や工期については各リフォーム工事店へお問合せください。
※各種保険、補助金等、助成金については変更及び終了になる場合があります。各運営団体ホームページなどでご確認下さい。