リフォームの基礎知識と費用の相場

外構リフォームの費用の目安|利用したい補助金制度

外構とは、建物の外側の空間を意味するエクステリアを構成する構造物のことです。具体的には門扉や門柱、フェンス、アプローチ、ガレージ、植栽、照明などが該当します。住まいの利便性や安全性を確保するには、内装(インテリア)だけではなく外構リフォームも検討することが大切です。今回は、外構リフォームを行う際のポイントや外構のタイプ、費用相場、利用できる補助金制度について解説します。

外構リフォームを上手に進める際に考慮するポイント

住宅のリフォームでは、内装と同様にエクステリアを整備することが重要です。こちらでは、外構リフォームを上手に進めるためのポイントを3つ解説します。

家や周囲の環境とのバランス

外構は家の印象を左右します。外構リフォームを成功させるには、自宅のデザインと調和し、周囲の環境になじみやすいデザインを意識するのがおすすめです。デザインに統一性を持たせることで、シンプルなものでもおしゃれで洗練された印象を与えられます。全体のバランスを考えて外構リフォームを進めましょう。

リフォームの目的と機能性

外構リフォームは、目的を明確にしたうえで実施することが重要になります。目的を事前に確認しておくことで、リフォーム内容や必要な機能が明確になり、満足のいくリフォームを実現しやすいためです。例えば、プライバシーの強化が目的の場合は、視線を遮る目隠しフェンスや物置、生垣などの設置が候補となります。ほかにも、老朽化の改善には既存の門扉の交換、利便性の向上には駐車場やサイクルポートの設置などを行うと良いでしょう。

メンテナンス性

外構のリフォーム時には、デザイン性だけではなくメンテナンス性にも目を向けましょう。外構は、日光や風雨の影響を受けることから、時間とともに劣化しやすい傾向にあります。そのため、リフォーム後のお手入れが容易な素材や設備を選ぶことで、美しい状態を長く保ちやすくなります。近年は、ローメンテナンスな外構に力を入れているリフォーム会社も増えているため、施工後の劣化が不安な場合は相談してみるのがおすすめです。

外構のリフォーム時に要確認!タイプ別のメリット・デメリット

外構のリフォームを検討する際には、外構のタイプ変更も選択肢に入ります。ここでは、外構の3つのタイプ別に、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。

オープン外構

オープン外構とは、塀やフェンスを極力設置しないタイプの外構です。多くの場合、敷地に芝生を植えたり、石や砂利を敷き詰めたりして、私有地と道路もしくは他人の土地との境界を示します。

【メリット】

オープン外構の最大のメリットは、開放感がある点です。建物の周囲に設置物がほとんどないため、自然の風や太陽光が敷地内に入りやすくなり、心地良い住まいを実現できます。
また、工事費用を抑えやすいのもメリットの一つです。オープン外構は、門や塀などを設置するコストがかからないため、初期費用を安く抑えやすい傾向にあります。予算が限られており、大規模なリフォームを実施できない場合でも安心です。

【デメリット】

オープン外構は、窓の位置などによって外から室内の様子が見えやすい点がデメリットです。リビングや自室で過ごす際に通行人や近隣の家からの目線が気になる場合もあり、プライバシーを保護しにくい可能性があります。
また、オープン外構は周囲との境界に設置物がない分、敷地内に他人が立ち入りやすい点にも注意が必要です。重大なトラブルにつながるおそれがあるため、防犯カメラやセンサーライトの設置などによって対策しましょう。

クローズド外構

クローズド外構とは、門や塀、フェンスなどで家の敷地をしっかり囲っているタイプの外構です。自宅と道路や隣家との境界線が明確になるため、住宅街でよく見られます。

【メリット】

クローズド外構は防犯性が高く、プライバシーを確保しやすい点がメリットです。門や塀などがあることで、不審者の侵入を防ぎやすいだけでなく、外からの視線も遮断できます。特に、都市部や人通りの多い場所に住んでいる場合にぴったりです。
また、クローズド外構には、子どもやペットが道路に飛び出す危険性を抑えられるメリットもあります。交通量の多い道路沿いに住んでいる場合や、子どもやペットを庭で自由に遊ばせたい場合に適しています。

【デメリット】

クローズド外構を実現する場合は、リフォーム費用がかかりやすい点に注意しましょう。門や塀、フェンスなどを使って敷地を囲むには、まとまった設置費用が必要です。また、設備が老朽化した後のメンテナンスにもコストがかかります。
次に、クローズド外構は外から見た場合に閉鎖的な印象を受けやすい傾向があります。圧迫感の原因にもなるため、塀の高さを調整したり、植栽で敷地内が少し見えるように工夫したりするのが良いでしょう。そのほかには、クローズド外構では門や塀に風や光が遮られてしまい、家の中まで届きにくい点もデメリットです。庭でガーデニングを楽しんでいる場合には、植物の成長にも影響を与える可能性があります。

セミクローズ外構

セミクローズ外構とは、塀やフェンスを必要な場所にのみ設置するタイプの外構です。家と外部を完全には遮断しないため、周辺と適度な距離感を保ちやすいのが特徴です。セミオープン外構とも呼ばれ、オープン外構とクローズド外構の中間的存在といえます。

【メリット】

セミクローズ外構は、適度な開放感を演出しつつ、ある程度のプライバシーを確保できるバランスが魅力です。トイレやバスなどの目隠しが必要な部分にのみ塀やフェンスを設置し、駐車スペースはオープンにするなど、外構を柔軟にデザインできます。

【デメリット】

セミクローズ外構の場合、部分的に塀やフェンスを設置するため、オープン外構と比べてコストがかかりやすい傾向にあります。特に、家の敷地面積が広い場合には注意が必要です。また、セミクローズ外構は、死角になる場所があると防犯性が低下するおそれがあります。塀やフェンスが設置されていない場所には防犯カメラや照明を設置するなど、対策が不可欠です。

【工事箇所別】外構リフォームの費用相場

外構のリフォームは、工事する場所に応じてかかる費用の目安が異なります。ここでは、工事箇所ごとの費用相場をご紹介します。

門まわり・塀・フェンス

門まわり・塀・フェンスのリフォーム費用の相場は、10万円〜80万円程度です。主な工事内容には、門や塀、フェンスの除去もしくは取り付け、門柱の設置などがあります。門まわりのリフォームは、防犯性の向上や外観をより良くすることなどを目的に行われる場合が一般的です。ただし、門まわりは住まいの顔ともいわれるため、防犯性だけでなくメンテナンスのしやすさなども踏まえて検討するほうが良いでしょう。

玄関アプローチ

玄関アプローチのリフォーム費用の相場は、20万円〜70万円程度です。玄関アプローチとは、門や道路から玄関までの部分を指します。玄関アプローチのリフォームではタイルやレンガを敷いたり、スロープや手すりを設置したりします。使用できる素材が幅広い分、材料費が上下しやすく、リフォーム費用も変動しやすいのが特徴です。玄関アプローチの部分は建築面積に含まれないため、外構工事の対象になります。

カーポート

カーポートのリフォーム費用の相場は、20万円〜70万円程度です。カーポートの新設や増設、改修などのリフォームが一般的です。カーポートのリフォーム費用は、駐車する車の台数が多くなるほど高くなる傾向にあります。使用する素材のグレードを落としたり、屋根を簡易的なものに交換したりすることで、コストを抑えられる場合があります。

ガーデンスペース

ガーデンスペースのリフォーム費用の相場は、30万円〜130万円程度です。ガーデンスペースは、サンルームやガーデンルーム、ウッドデッキ、テラスの設置・付け替えなど、庭まわりをより活用しやすくする目的でリフォームされます。サンルームを増築する場合は基礎工事を伴うことが多いため、費用が多くかかりやすいのが特徴です。

外構リフォームに使える主な補助金・減税制度

外構リフォームの費用は、箇所や施工内容によって高額になるケースも少なくありません。続いては、外構リフォームに活用できる補助金や減税制度をご紹介します。

こどもエコすまい支援事業

「こどもエコすまい支援事業」は、対象となるリフォーム工事を行うことで5万円~60万円の補助を受けられる制度です。宅配ボックスの設置など、外構部分のリフォーム工事が該当するケースがあります。ただし、1申請あたりの補助額が5万円未満の場合、申請を行えないため注意が必要です。詳細な申請条件などは、下記の公式ホームページをご確認ください。

介護保険における住宅改修

要支援、もしくは要介護者のために外構をリフォームする場合は、介護保険が利用できます。具体的には、手すりの取り付けや段差の解消、玄関アプローチの素材変更などの工事が対象です。20万円以下の外構リフォームであれば、1割の自己負担で実施することができます。

地方自治体独自の主な補助金・助成金

地方自治体によっては、外構リフォームに使える独自の補助金や助成金を用意している場合もあります。例えば東京都や大阪市では、ブロック塀などの倒壊による人的被害を防止するために、撤去や新設にかかる費用の一部を支援しています。適用には条件があるものの、これらの制度を活用することで、コストを抑えつつ外構の安全性を確保することが可能です。外構リフォームを行う際は、事前に地域の補助金や助成金を確認すると良いでしょう。

外構のリフォームについてよくある質問

最後に、外構リフォームに関するよくある質問にお答えします。外構リフォームの悩みや疑問点の解消にお役立てください。

外構のリフォームを行うのは何年くらいが目安?

外構リフォームのタイミングは、使用されている素材によって異なります。一般的に、コンクリートやブロック塀は15〜20年、アスファルトは10年、金属やスチールの場合は15〜20年ほどが目安です。しっかりとした施工がされていれば、30年ほど持つケースもあります。ただし、土台にサビやひび割れが生じると耐久性は弱まります。

外構のリフォーム工事はどこに頼めば良い?

外構リフォームの依頼先には、ハウスメーカーや外構の専門業者などがあります。ハウスメーカーに依頼する場合、家の建築と同時に外構工事を行える点がメリットです。ただし、打ち合わせや引き渡しの手間を省くことができる一方で、下請け業者に工事を発注する場合はマージンが発生してコストが高くなります。
外構の専門業者はエクステリア工事を専門に扱っており、難しい要望にも柔軟に対応してもらいやすいのが魅力です。一方で、家の建築と同時に工事を行うことはできないため、新築で家を建てる場合は、引き渡し後の着工となります。
外構リフォームの業者選びは、施工事例や雰囲気などを確認し、自分のイメージに合った工事を得意とする会社に任せるのがおすすめです。依頼先の候補を複数ピックアップし、希望を伝えたうえで相見積もり取ってプランを比較すると良いでしょう。

外構のリフォームを依頼する大まかな流れは?

外構リフォームを依頼する場合、まずは工事内容や予算を決めましょう。現状の外構における不満点や改善点を家族で話し合い、希望するリフォームを具体化します。

次に、リフォーム会社を探し、相見積もりを取ったうえで依頼先を決定します。費用面だけではなく、プランの内容やアフターフォローの充実度、担当者の対応などを考慮して決めることが大切です。リフォーム会社が決まったら工事が開始され、完成後に引き渡しを受けて外構リフォームは完了です。

外構のリフォームにかかる工事期間の目安は?

外構リフォームにかかる工事期間は、外構のタイプや設置する構造物によって変わります。例えば、オープン外構の場合は工事のボリュームが少ないため、1週間程度で完了します。一方で、クローズド外構は敷地全体をブロックやフェンスで囲う必要があり、工事期間が1カ月程度かかるケースも少なくありません。敷地面積が広くなるほど、工事期間も延びる傾向にあります。

また、構造物の中でも設置に時間がかかりやすいのがブロック塀やコンクリートです。一般的に、ブロック塀は3〜7日ほど、コンクリートは養生期間も含めると10日程度かかります。工事期間は施工面積によって変動するため、リフォーム会社に確認するのが確実です。

外構リフォームにかかる費用を抑える方法は?

外構リフォームの費用を抑えるには、DIYをうまく活用するのがおすすめです。簡単なリフォームは業者に依頼せずDIYにすることで、費用を大きく抑えられます。例えば、砂利の敷き詰めやタイルの張り替え、花壇作りなどの作業は、初めてでも比較的簡単に行えます。

※費用や工期はあくまで目安です。実際の費用や工期については各リフォーム工事店へお問合せください。
※各種保険、補助金等、助成金については変更及び終了になる場合があります。各運営団体ホームページなどでご確認下さい。