リフォームの基礎知識と費用の相場

リフォームの費用はどれくらいかかる?相場と安く抑えるコツ

中古住宅を購入した場合や、長く住んだ家を改装したい場合など、リフォーム・リノベーションを検討するときに気になるのが費用です。希望する工事内容に応じて、用意すべきリフォーム資金は変わってきます。住まいのリフォームにかかる費用の相場や、できるだけ安く抑えるためのポイントなどを確かめておきましょう。

今回は、築年数別・場所別のリフォーム費用相場や、リフォーム費用の内訳、リフォームを行うメリット・デメリット、費用を抑えるコツなどをお伝えします。また、リフォームのおすすめ事例集もご紹介するので、ぜひ参参考にしてみてください。

築年数別のリフォーム費用の目安

住宅リフォームの内容は、築年数によって異なる場合があります。まずは、築年数ごとのリフォーム費用相場を確かめていきましょう。

建物の築年数に応じて必要になるリフォームの内容や費用相場は異なります。一般的に建物が古くなるほどリフォーム費用は高くなる傾向にあります。

築20年の住宅のリフォーム費用相場は150万~400万円です。全面リフォームをするというよりは、水回りや内装など一部のリフォームがメインとなります。

築30年の住宅のリフォーム費用相場は500万~900万円です。この時期になると内装の全面的なリフォームを行うケースも見られます。

築40年の住宅のリフォーム費用相場は900万~2000万円です。内装だけでなく外装も含めたスケルトンリフォームを行うこともあります。スケルトンリフォームとは、天井や壁、床などをすべて取り払って行う大規模なリフォームです。1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅の場合は、耐震構造の強化を行うこともあります。

リフォーム費用の内訳

リフォーム費用の見積もりを出してもらった際、工事費のほかにも諸経費などの項目が記載されていることがあります。それぞれどのような費用であるのかを確かめてみましょう。こちらでは、リフォーム費用の主な内訳を解説します。

工事でかかる主な費用

  • 仮設工事費用

リフォーム工事を行う前に、工事に必要な設備を組み立てる費用です。養生費、足場工事費などのほか、工事に必要な機材などを搬入する運搬費が含まれることもあります。

  • 解体・撤去費用

工事の際、既存の部材や設備などの解体・撤去が必要になった場合に発生します。撤去したものは廃棄物として処理されますが、そのための処分費用もかかります。

  • 木工事費用

木材を使用して加工や組み立て、取り付けなどの工事を行う際にかかる費用です。建物の構造や下地、造作など、さまざまな部分の工事費は木工事費用に該当することがあります。

  • 建具工事費用

扉や窓、ふすま、障子などの建具工事をする場合に生じる費用です。建具本体のみを交換するケースもあれば、枠ごと交換するケースもあります。

  • 内装工事費用

壁紙・クロス、天井、床などの内装工事をする際に発生する費用です。元のお部屋の状態やリフォームする範囲、材料費などにより料金は変わります。

  • 給排水設備工事

キッチンや風呂場、洗面室、トイレなどの水まわりで給排水設備を工事する際にかかる費用です。水道管や排水管、給湯設備、給水タンクなどが給排水設備に該当します。

  • 電気工事費用

照明やコンセント、スイッチ、アースなどの工事を行うときに必要な費用です。既存の設備の劣化具合や工事内容などにより、金額は大きく変動します。

  • 左官・タイル工事費用

タイル補修や張り替え、漆喰塗り、モルタル塗りなどの際に生じる費用です。材料費や補修費用などが含まれます。タイル工事の場合は必要なタイルの枚数などによっても料金が変わります。

工事以外でかかる主な費用

  • 設備機器費用

リフォームで新たに交換・追加する設備の費用です。洗面台や浴槽、トイレ、屋根、外壁など、さまざまなものが当てはまります。素材やグレードによって金額は変わります。

  • 諸経費

一般的に、リフォーム会社の人件費や運営費、交通費などの費用が諸経費に含まれます。ただ、諸経費に何の費用を含めるかについて、明確な決まりはありません。リフォーム業者によっては「現場管理費および諸経費」など、その他の工事費と合わせて計上することもあります。

  • 駐車場代

リフォーム中に工事業者の車両を自宅の駐車場にとめられない場合は、別の駐車スペースを手配しなければいけません。工事の日数×台数分の駐車場代が必要です。

  • 確認申請手数料

リフォーム内容によっては確認申請が必要になることがあります。その際に求められるのが確認申請手数料です。審査機関によって基準が異なり、手数料も変わります。

  • 設計費

フルリフォームのように間取りの変更を伴うような大規模工事をする場合、設計費が生じることがあります。部分的なリフォームであれば必要ないこともあるため、個別に確認しましょう。

各リフォーム箇所の費用相場

建物の内装や外装、外構・エクステリアなど、リフォームしたい場所によっても金額は変わってきます。また、一戸建てのリフォームかマンションリフォームかによっても相場は異なるため、それぞれの違いを確かめておきましょう。

リフォームのメリット・デメリット

リフォームを検討中の方のなかには、建て替えと迷っている方も少なくないでしょう。こちらでは、建て替えた場合と比べてリフォームにどのようなメリット・デメリットがあるかをご説明します。

  • 費用相場が割安

一般的にリフォームのほうが工事費用は安くなる傾向にあります。全面リフォームの場合、工事の費用相場は900万~1700万円程度ですが、建て替え工事の費用相場は1600万~3000万円程度です。建物の保存状態が良ければ、リフォーム工事費をさらに抑えることもできます。

  • 工事期間が比較的短期

建て替えの場合は、基礎部分から家を建て直します。フルリフォームの場合は基礎部分を残せるため、建て替えよりも工期が短く済みやすいといえます。

  • 固定資産税の減税を受けられる場合がある

リフォームの内容によっては、固定資産税の減税制度が適用されることがあります。耐震リフォームやバリアフリーリフォーム、省エネリフォームなど、条件はさまざまです。

  • 住み慣れた家にそのまま住める

建て替えの場合、家をいったん解体して、再び建て直します。工事中の仮住まいや引っ越し費用なども必要です。リフォームの場合、そのまま住みながら工事を進めることも可能です。

  • 間取りの自由度が低い

リフォームでは現在の建物を活かすため、間取りに制約が出てきやすい点はデメリットといえます。家の構造に関わる梁や柱、階段などは動かすことはできません。壁で家を支える「壁式工法」の住宅の場合、耐震構造に関わる柱や耐力壁を移動できないため、壁の移動や窓の追加は難しいでしょう。また、耐震構造上、天井を外す「吹き抜け」が難しい場合があります。

  • 建て替えよりも高額化する場合がある

工事の内容次第では、建て替えよりも高額になってしまうケースがあります。たとえば、断熱リフォームや耐震補強のように家全体の性能を高める工事を希望する場合、予算も多く見積もっておいたほうが良いでしょう。

  • 住宅ローンに比べて、リフォームローンには制限がある

リフォームローンは住宅ローンと比べると金利が高く、借入期間も短く設定されます。無担保で借りることはできますが、返済のことを考えると使いにくさを感じる方も多いでしょう。

リフォーム費用を抑えるコツ

リフォームに必要な金額によって、自己資金をいくら用意すべきか、ローンを借りるかどうかといった資金計画が変わります。無理なくリフォームを行うために、費用を抑えられるところはなるべく抑えることを意識しましょう。こちらでは、リフォーム費用を抑えるコツや注意点をご紹介します。

  • 設備のスペックやグレードを落とす

リフォームで新しく設置する設備のスペックやグレードが高いほど、金額も高くなります。本当に必要な機能が付いたものだけを選ぶように気をつけましょう。

また、資金の使い道にはメリハリをつけることも大切です。必要な箇所には資金を投入しますが、こだわりのない箇所は妥協することも検討しましょう。事前に何を優先したいかを決めておき、リフォーム会社へ相談する際にしっかりと要望を伝えることがおすすめです。

  • 補助金や助成金、減税制度を利用する

リフォームの補助金制度や助成金制度など、国や自治体の支援制度を調べて活用することも大切なポイントです。たとえば、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」により、家の耐震性や省エネ性能などを高める工事を行うと補助金を申請できる場合があります。リフォームの際に住宅ローンやリフォームローンを組んだ際は、住宅ローン減税が適用されて所得税が控除されることもあります。ほかにも数多くの制度があるため、適用されるものがないか調べてみることがおすすめです。

  • まとめてリフォーム工事を行う

一部ずつ小分けでリフォームするよりも、一度にまとめて工事を済ませることで費用を抑えられることがあります。たとえば、足場が必要な外壁や屋根の工事は、一気に行うことで足場代の節約につなげられます。水道の配管工事を行う場合も、バスルームや洗面所などの水回りをまとめて工事するのがおすすめです。