リフォームの基礎知識と費用の相場

ベランダのリフォームガイド|費用相場と失敗しないポイント・注意点

ベランダをリフォームすることは、日々の暮らしをより豊かなものにします。ベランダの機能性は向上し、心地よい空間作りにも貢献するでしょう。
本記事では、ベランダのリフォームのタイミングや成功のポイント、費用相場について解説します。また、既存のベランダのメンテナンスコストや、サンルームなどの設置工事にかかる費用についてもご紹介します。ベランダのリフォームに興味がある方は、ぜひご確認ください。

ベランダのリフォームが必要になる主なタイミング

ベランダをリフォームするタイミングは、大まかに2つあります。1つ目は防水塗装などの劣化により、メンテナンスが必要になったときです。ベランダは雨風や紫外線にさらされているため、対処を怠ると大規模な修繕が必要になります。そのため、手すりにサビが現れたり、床や壁が剥がれたりする兆候が見られたら、早めのメンテナンスが大切です。

2つ目のタイミングは、ベランダの使い勝手を向上させたいときです。以下のような要望がある場合、ベランダのリフォームを検討しみましょう。

・洗濯物を多く干せるように増築したい
・天候に関係なく洗濯物を干せるサンルームにしたい
・プライバシーを保護するために曇りガラスを使用したい

ベランダのリフォームを上手に進めるポイント

ベランダのリフォームを成功させるためには、いくつかの注意点があります。機能性や安全性にも影響するため、事前に把握しておきましょう。

リフォームの目的を明確化する

まずはベランダを活用する上での課題やリフォームの目的を整理します。施工内容によって必要な工事費用などは変わるため、リフォームが課題解決につながるかを考慮することが大切です。例えば、家族が増えて洗濯物の量が多くなった場合、ベランダの増築や新設を検討して収納スペースを確保することが有効となります。また、ベランダをペットの遊び場にしたい場合には、安全でくつろげるサンルームの設置が効果的です。
ベランダの用途は多様なため、リフォーム後の利用方法をイメージし、施工内容を絞ることが重要です。

外壁との見た目のバランスを考慮する

ベランダは住宅の一部であり、外壁のデザインや色とのバランスを考慮する必要があります。機能性や使い心地は大切ですが、外観を損なわないように気をつけましょう。見た目の調和を保つ方法はいくつかありますが、外壁とベランダの色を統一することが、自然な仕上がりを実現する方法の1つです。そのため、ベランダのリフォームと同じタイミングで外壁の塗装や張り替えを行うのも良いでしょう。

日当たりと風通しを考慮する

ベランダのリフォームを行う際は、日当たりや風通しの悪化に注意しましょう。屋根が原因で太陽光が階下に届きづらくなるケースもありますし、フェンスの構造によっては空気の循環が悪くなるかもしれません。対策としては、手すりに通気性の良いフェンスを使う、床を隙間のあるスリット状にするなどの方法が効果的です。

プライバシーの保護と見通しのよさのバランスを考慮する

ベランダを快適な空間にするためには、見通しの良さが重要です。開放感のあるベランダは住む人の気持ちを明るくするだけでなく、万が一侵入者が敷地内に入った場合に、隠れ場所になりづらいというメリットがあります。一方で、プライバシー保護の観点では目隠しも必要です。このバランスを取るために、シェードを活用するなどして洗濯物や室内が外から見えないように工夫しましょう。

子供の安全を確保できる設計にする

子供の転落事故を防止するために、手すりの高さや耐久性に気を配り、格子状の柵ならば隙間の広さには注意しましょう。また、ベランダに子供が足をかけられる踏み台や椅子、植木鉢などがあると危険なので、極力物を置かないようにすることが大切です。なお、ベランダの奥行きが狭いと、子供が室外機からよじ登ろうとすることがあるので、子供が一人でベランダに出ないよう補助錠の設置も検討しましょう。

メンテナンスの手間を考慮して素材を選ぶ

ベランダ本体や床材の選び方において、見た目だけでなく耐久性を考慮することをおすすめします。一般的に、ベランダの素材には金属製(アルミ製・スチール製)と木製(天然木・人工木)の2種類があり、それぞれ腐食や劣化のしやすさが異なります。風合いにこだわることも大切ですが、素材によってはサビ止めや防腐対策といったメンテナンスコストがかかることを理解しておきましょう。

防犯面を考慮する

ベランダの目隠しが不十分な場合、空き巣の標的にされる可能性があります。外から室内や洗濯物が見えると、住人の家族構成や性別、生活リズムなどが空き巣に察知され、犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。ベランダの柵を選ぶ際は、日当たりと風通しを確保しつつ、目隠し効果のある製品を選ぶことが重要です。

近隣トラブルの可能性を考慮する

ベランダのリフォームを成功させるためには、近隣トラブルに注意を払うことが大切です。典型的なトラブル事例には以下のようなものがあります。
・リフォーム工事に伴う騒音
・近隣住宅の日当たりの悪化
・ペットの鳴き声による騒音
近隣住民との円滑な関係を維持するために、工事のスケジュールや計画を共有し、トラブルを回避するための配慮を怠らないようにしましょう。

ベランダのリフォーム実績が豊富なリフォーム会社を選ぶ

優良なリフォーム業者を見極めるために、見積もりの段階で複数の会社を比較検討することがおすすめです。その際、ホームページの施工事例を確認するだけでなく、見積もり時の担当者の対応や、現地調査の実施有無、点検の丁寧さなどを総合的に評価しましょう。見積もりの金額が安い業者は魅力的に見えますが、思わぬ追加工事が発生する可能性もあるため、慎重に選ぶことが大切です。

ベランダのリフォームの費用相場

続いて、ベランダのリフォームの費用相場について、工事内容別にご紹介します。

防水工事

ベランダの防水工事は、特殊な塗料を塗ることで防水効果を高める手法です。ベランダに塗装の剥がれやひびがあると雨漏りの原因になるため、数年ごとに防水工事(再塗装)を行います。防水工事は大きく4つに分けられます。

1つ目の「FRP防水」とは、防水性・耐熱性・耐久性の高いFRP(繊維強化プラスチック)を床面に敷き詰める工法です。費用相場は10万~20万円、平米単価は3,000~7,000円ほどで、5年おきにトップコートの再塗装が必要になります。

2つ目の「ウレタン防水」とは、ウレタン樹脂系の防水塗料を塗布する工法です。費用相場は7.5万~20万円、平米単価は4,000~8,000円ほどで、5年おきにトップコートの再塗装が必要です。

3つ目の「シート防水」とは、ゴムや塩化ビニールでできた防水シートを張る工法です。費用相場は7万~9万円、平米単価は2,500~7,000円ほどで、劣化したシートの撤去費用が必要になります。

4つ目の「アスファルト防水」とは、アスファルトを入れた合繊繊維を床に張る工法です。費用相場は20万~30万円、平米単価は8,000~1万円ほどで比較的高額ですが、20年ほどメンテナンスはほぼ不要になります。

サビ止め工事(塗り替え)

サッシや手すりがスチール製のベランダの場合、定期的にサビ止め工事を行わなければなりません。サビ止め用の塗料は主に3種類で、価格の安い「鉛系塗料」、サビ止め効果が高い「エポキシ系塗料」、価格は高いが効果は強力な「サビ固め塗料」が使われています。工期は2日ほど、費用相場は8万〜15万円ほどです。

アルミ製ベランダへの取り替え

既存のベランダをアルミ製に交換する場合、おおよそ50万円から100万円の予算と約10日間の工期が必要です。なお、アルミ製はスチール製と比べてもサビにくく耐久性も高いため、5年ごとのサビ止め工事が不要です。

ベランダの後付け

ベランダやバルコニー本体を後付けするための費用相場は20万〜50万円ほど、工期は3日ほどです。ただし、ベランダを設置するためには窓がある場所を選ぶ必要があります。

ベランダの拡張

ベランダの拡張では幅・奥行きを広げることで、洗濯物が干しやすくなり、日当たりも改善する可能性があります。工法としては、既存のベランダにデッキバルコニーをつなげたり、丸ごと大きなベランダに取り替えたりします。費用相場は60万円からで、工期は3日ほどです。

バルコニーへの屋根の設置

バルコニーに屋根を取り付けるためには、7万〜20万円ほどの予算と1~2日の工期が必要です。屋根の形状は主に2種類で、屋根が真っ直ぐの平面タイプである「フラット型」と、屋根が前面に向けて緩やかに丸くなっている「アール型」があります。

サンルームの設置

サンルームを設置する際は、既存のベランダの一部または全てを解体する必要があります。設置費用は50万円程度ですが、ベランダの一部に設置する場合は予算を削減できます。ただし、解体や撤去にかかるコストも考慮する必要があり、費用相場は40万円〜100万円程度、工期は2〜3日が一般的な目安となります。

ウッドデッキの設置

ベランダの床にウッドデッキを設置する場合、おおよその予算は10万円から70万円程度で、工期は1日ほどです。ウッドデッキは木の温かみやナチュラルな雰囲気が魅力的で、開放的な空間作りに役立ちます。ただし、天然木は耐久性が低いため、木粉と樹脂から成る人工木を採用するのも良いでしょう。

ベランダのリフォーム時の注意点

ベランダのリフォームでは、法的制限などを考慮する必要があります。事前に以下の3点は把握しておきましょう。

建築確認申請が必要になることがある

ベランダの後付けや増設、サンルームへのリフォームなどは増築扱いになるため、建築確認申請が必要になることがあります。建築確認申請とは、計画しているリフォーム内容が建築基準法や条例に合致したものか審査してもらう手続きです。建築確認申請は、設計事務所やリフォーム業者に依頼することが多く、手続きに10万〜20万円程度の費用が必要となります。また、この審査では建ぺい率や容積率といった住まいの大きさに関わる指標などが確認されます。
なお、「増築面積が10㎡以下」かつ「所在地が防火地域・準防火地域に指定されていない」場合には、建築確認申請は不要となります。

マンションではリフォーム禁止となることがある

マンションのベランダは共用スペースであり、緊急時の避難経路でもあるので、リフォームが認められないケースが多いです。床にタイルやウッドパネルを敷き詰める程度のリフォームであれば許可されることもありますが、サンルームの設置などは現実的ではありません。

構造上の問題がないか、強度をチェックしておく

ベランダは屋外にあり雨風に晒されるため、防水性と耐水性を確認することが重要です。メンテナンスを行う際には、表面の劣化状態などをチェックし、必要であれば防水工事を実施します。また、新しく素材を選ぶ際には、耐腐食性や汚れの落としやすさなども考慮しましょう。

ベランダのリフォームのよくある質問

続いて、ベランダのリフォームに関してよくある質問を6つ紹介します。

ベランダとバルコニー、テラス、サンルームの違いは?

ベランダは住宅とつながった屋外スペース(エクステリア)の一種ですが、バルコニー・テラス・サンルーム・ルーフバルコニーとは別の概念です。

ベランダとは、住宅の外に張り出した屋根のあるスペースで、2階以上に設置されます。バルコニーはベランダと似ていますが、屋根がない場合はバルコニーとなります。また、階下の屋根部分を活用したバルコニーをルーフバルコニーと呼びます。

テラスは1階に設置されたエクステリアで、リビングなどの部屋と床の高さが同じことが特徴です。最後にサンルームとは、壁や天井がガラス張りになっており、日光を取り込みやすい部屋のことを指します。

ベランダの広さの目安は?

ベランダの広さの目安は、用途や家族構成によって異なります。一人暮らしのマンションの場合、奥行きが1m未満で幅が1m程度のベランダが一般的です。一方、ファミリー向けの場合は、奥行きが1m以上で幅が数mあることがあります。ただし、洗濯物をたくさん干す必要がある場合やガーデニングスペースとして利用する場合は、さらに広いベランダが望ましいでしょう。

ベランダの主な役割・使い道は?

ベランダは多くの役割や使い道が考えられますが、主なものは以下の6つです。

・衣類や布団を干す
・ガーデニングや家庭菜園を行う
・直射日光や雨の遮蔽
・エアコン室外機の置き場所
・ゴミ置き場として活用
・災害時の避難路

さらに、窓を開けて屋内とベランダをつなげば、おしゃれなアウトドアリビングとして活用することも可能です。

ベランダの床をウッドデッキにするメリット・デメリットは?

ベランダの床にウッドデッキを施工するか、ウッドパネルを敷くことで、ベランダの雰囲気を簡単に変えることができます。メリットとしては、高いデザイン性でおしゃれな空間を演出できる点が挙げられます。一方で、デメリットとしてデッキ下の掃除が難しいことがあります。定期的な掃除が必要で、放置するとカビや湿気の問題が発生する可能性があります。また、デッキ材は重いため、撤去や移動が簡単ではありません。

ベランダに屋根やサンルームを設置するメリット・デメリットは?

既存のベランダを利用してサンルームにリフォームする方法があります。サンルームを設置することで、雨風が強い日でも安心して洗濯物を干すことができるほか、子供やペットの遊び場としても活用できます。ただし、ガラスの断熱性が高いため、夏は暑く、冬は寒くなりやすいことがデメリットです。

使っていないベランダを部屋にリフォームする際の方法と費用相場は?

「ベランダを部屋に変える」とは、ベランダを取り払い、部屋として一から作り直すことを指します。この場合、構造部の補強を伴う大規模な工事となるため、費用は最低でも10万円、高ければ100万円を超えることもあります。

※費用や工期はあくまで目安です。実際の費用や工期については各リフォーム工事店へお問合せください。
※各種保険、補助金等、助成金については変更及び終了になる場合があります。各運営団体ホームページなどでご確認下さい。