リフォームの基礎知識と費用の相場

ガレージ、カーポート、駐車場のリフォーム|注意点と費用相場は?

ガレージやカーポートのリフォームを考える際、何から手をつけるべきか、費用はどのくらいかかるのかなど、迷うことも多いでしょう。ガレージを新たに増設する場合は、固定資産税が変動するケースもあります。そこで本記事では、ガレージのリフォームを成功させるためのヒントや注意点、工事内容ごとの費用相場を解説します。

ガレージ(カーポート)の基礎知識

ガレージやカーポート、駐車場のリフォームは、住まいと愛車を守る重要な投資です。ここでは、3つの駐車スペースの違いとガレージの主な種類を解説します。

ガレージとカーポート、駐車場の違い

まず、ガレージは壁と屋根、シャッターなどで囲まれた駐車スペースです。本来、車を雨などから守る車庫を指す言葉で、シャッターを閉めることができるため、防犯性が高い特徴があります。スペースがあれば、車だけでなく、工具や洗車用具、交換用のタイヤ・パーツなども保管できます。

次に、カーポートは屋根のある簡易的な駐車スペースです。柱や構造の違いに応じて、両側支持タイプ、片流れタイプ、後方支持タイプの3タイプに分かれます。

最後に、駐車場は屋根のないオープンな駐車スペースを指すのが一般的です。地面の舗装が大きく4種類に分かれており、砂利敷き、アスファルト、インターロッキング、コンクリートがあります。

ガレージの主な種類

独立型ガレージ

独立型ガレージは、敷地内に住宅とは別の建物として設置されるガレージのことです。住宅と離れているため、車・バイクの出し入れやシャッターの開閉時に起こる音が気になりにくいメリットがあります。また、リフォームによる後付けがしやすいのも魅力です。ただし、法律上は建築物扱いになるため、建築確認申請などの手続きが必要になります。

ビルトインガレージ

ビルトインガレージは住宅の一部として設計されるガレージです。住居の1階部分を使用するケースが多く、敷地が狭くても設置しやすいのが特徴です。1階の間取り変更が難しい場合は、庭にガレージを設置して住宅と一体化させる方法もあります。外に出ることなくアクセスできるため、雨でも濡れる心配がなく、防犯面でも優れています。ただし、1階部分の開口部が広くなる分、設置時には住宅の強度や間取りを考慮して設計する必要があります。

掘り込み式ガレージ・地下車庫

建物一体型ガレージの中でも、天井面が地面から1メートル未満の高さに設置されたものを掘り込み式ガレージ、もしくは地下車庫と呼びます。住宅の地下を利用するため、居住スペースを広く確保しやすいのがメリットです。デメリットとしては、コンクリートで施工することから湿気がこもりやすく、換気対策が必須となります。また、安全面や地盤の関係でリフォームできないこともあります。

ガレージハウス

ガレージハウスは、駐車スペースが建物の中に埋め込まれたようなデザインの住宅のことです。ビルトインガレージがリフォームによって後付けできるのに対し、ガレージハウスは設計段階から建物に車庫が組み込まれています。車を趣味として楽しんでいる人から特に人気があります。

ガレージ(カーポート)のリフォーム時のポイントと注意点

ガレージのリフォームは、ただ外見を変えるだけではなく、機能性や安全性の向上にも寄与します。ここでは、リフォームを成功させるためのポイントと注意すべき事項をご紹介します。

リフォームを上手に進めるポイント

現状の課題を確認しておく

ガレージのリフォームを行う際は、目的を明確化するために現状感じている不満点を棚卸ししておきましょう。例えば、車庫入れしにくい、夏場に車内が暑くなりやすいなど、できる限り具体的な課題を列挙するのがポイントです。家族間で重視するポイントが異なる場合もあるため、家族それぞれの要望をまとめておくと良いでしょう。

予算を決めてからリフォーム業者に相談する

工事費用が青天井になるのを防ぐには、リフォーム会社を選定する前に必ず予算の上限を決めておきましょう。また、複数のリフォーム会社から見積もりを取り、費用相場を把握することも重要です。これにより、コストパフォーマンスの高いリフォームプランを立てやすくなります。

車のサイズを確認する

ガレージのリフォームを計画する際は、現在所有している車や将来的に購入を検討している車のサイズを確認し、ガレージの広さを決めましょう。荷物を持った状態でもスムーズに乗り降りできるよう、空間には余裕を持たせることが大切です。

騒音対策を施す

ガレージを設置する場合は、近隣の住宅や自宅への騒音対策も重要です。防音材や騒音の発生しにくい電動シャッターを設置するなどの方法が考えられます。

排気装置を設置する

ガレージには、車の排気ガスを屋外に排出する装置を設置しましょう。排気装置が設置されていないと、暖機運転やエンジンをかけて車両整備を行う際に、ガレージ内に一酸化炭素が充満しやすくなり危険です。排気装置には換気扇のほかに、車のマフラー部分にダクトを設置して排気ガスを強制的に屋外に排出する方法もあります。

便利な設備の導入を検討する

ガレージの利便性をアップさせるには、便利な設備を導入するのがおすすめです。例えば、照明や収納棚、コンセント、水栓、クッション材、監視カメラなどの設置を検討しましょう。

リフォーム時の注意点

税金の変動に気をつける

独立型のガレージは増築とみなされるため、固定資産税が増加する可能性があります。また、敷地の建ぺい率・容積率の範囲でリフォームを行う必要がある点にも注意しましょう。

一方で、住宅内にガレージを作るビルトインガレージは、建物の1階部分を減築することから固定資産税の評価額が下がる可能性があります。延べ床面積に対して5分の1まで床面積に算入されないため、固定資産税の節税が期待できます。

増築許可が下りないことがある

建築物に該当するガレージを設置する場合は、増築の建築確認申請が必要です。しかし、地域の建ぺい率や容積率の条件を超えている場合や既存不適格建築物となる場合は、増築許可が下りないことがあるため注意しましょう。

DIYできる作業は限られる

ガレージのリフォームにおいて、DIYで対応できる作業は限られています。水回りの工事や電気配線、大規模な間取り変更など、専門的な知識や技術が必要な作業はプロの業者に依頼するのが安心です。

ライフステージの変化に伴う乗り換えや増車を考慮する

将来的に大きなサイズの車に買い替える可能性がある場合や、台数を増やす予定がある場合は、それに対応できるガレージを設置しましょう。ライフステージや家族構成の変化などにより、必要な駐車スペースは変わってきます。現在だけではなく将来も見据えたリフォーム計画を立てることが大切です。

住宅の構造的に難しいリフォームがある

既存の住宅構造によっては、リフォームが困難な場合もあります。特に、ビルトインガレージや掘り込み式ガレージは、耐震性や耐久性の観点から設置できないケースもあるため、リフォーム会社に相談すると良いでしょう。

ガレージ(カーポート)の主なリフォーム費用の相場

ガレージのリフォームは、設置する種類や施工内容によって費用が変動しやすいのが特徴です。そこで続いては、ガレージのリフォーム費用の相場を施工内容ごとにご紹介します。

工事内容費用相場(1台分)工期の目安
独立ガレージの設置100万~300万円1カ月~1カ月半
ビルトインガレージの設置150万〜350万円1カ月前後
既存の部屋をビルトインガレージへ改装60万〜250万円3週間前後
掘り込み式ガレージ・地下車庫の設置100万〜800万円2〜3カ月
カーポートの設置10万〜40万円1週間〜10日
既存の駐車スペースの拡張30万〜200万円1〜3週間
駐車スペースの舗装2万5000円〜16万円1日〜数日
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

独立ガレージの設置

独立ガレージを設置する場合、リフォーム費用の相場は100万~300万円です。既製品とオーダー品で費用は異なります。既製品のほうが安く、組み立て式のガレージもあるため、予算との兼ね合いで決めると良いでしょう。また、車やバイクのメンテナンスが可能なガレージハウスの場合、1,000万円以上かかることも珍しくありません。

ビルトインガレージの設置

ビルトインガレージを増築する場合の費用は150万〜350万円が目安です。車のほかにバイクや自転車の保管スペースを用意したり、車をメンテナンスするための水道設備を設置したりする場合は、さらに費用がかかります。

既存の部屋をビルトインガレージへ改装

既存の部屋をビルトインガレージへ改装する場合は、60万〜250万円が費用相場です。構造上撤去できない柱や壁があり、ほかの部屋や玄関の間取り変更が必要になると金額が高くなりやすい傾向にあります。

掘り込み式ガレージ・地下車庫の設置

掘り込み式ガレージや地下車庫の設置にかかる費用は100万〜800万円が相場です。天井までの高さに応じて費用が変動するため、駐車する車のサイズに合わせて適切な高さを選択する必要があります。

カーポートの設置

一般的なカーポートであれば、1台あたり10万〜40万円でリフォームできます。ただし、豪雪地帯などで大量の積雪に耐えられるように設計する場合は、費用が100万円を超えるケースもあります。

既存の駐車スペースの拡張

既存の駐車スペースを拡張する際の費用は30万〜200万円が目安です。新たに屋根を設置するか、撤去するガレージやカーポートがあるかなどによって費用が変動します。また、リフォーム後の駐車スペースをガレージ・カーポート・駐車場のどれにするのかによっても費用が変わるため、目的や予算に応じて選択すると良いでしょう。

駐車スペースの舗装

駐車スペースの舗装リフォームを行う場合、費用相場は2万5000円〜16万円となっています。舗装に使用する材料に応じて費用が変動し、砂利やアスファルトは比較的価格が安く、インターロッキングやコンクリートは費用がかかりやすい傾向にあります。耐久性やメンテナンスの容易さ、見た目の美しさなどを考慮して最適な材料を選択しましょう。

ガレージ(カーポート)のリフォームでよくある質問

ここでは、ガレージのリフォームでよくある質問にお答えします。

ガレージを部屋にリフォームする際のポイントは?

ガレージを使わなくなった場合、部屋や店舗などに改装することができます。敷地内に増築スペースがなくても、不要になった空間を有効活用できるのが魅力です。ただし、改装するガレージの構造によって必要な工事・手続きなどが変わるため、事前に確認しておきましょう。例えば、ガレージを居住スペースにする場合は断熱工事や床工事、窓工事などが必要です。ガレージの上に増築する場合は補強工事、建築確認申請なども必要になります。加えて、増築によって固定資産税が増える可能性もあるため、事前にチェックしておきましょう。

ガレージとカーポートのどちらが良いかを選ぶ基準は?

ガレージとカーポートのどちらが良いか迷っている場合は、設置の目的を基準に考えるのがおすすめです。例えば、楽に車を出し入れしたい場合はシャッターのないカーポートが適しています。一方で、防犯性を重視する場合は、車を壁や屋根で囲うことのできるガレージが良いでしょう。ガレージは車を雨風や紫外線から守ることもでき、汚れや傷対策にも有効です。

ガレージにかかる固定資産税はいくら?

ガレージにかかる固定資産税の金額は、「固定資産税評価額×税率」で計算できます。固定資産税評価額は増築にかかった費用の60%程度、税率は1.4%程度となっています。ただし、設備の性能によって固定資産税評価額は変動する可能性があり、税率も自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

ガレージの撤去・解体にかかる費用は?

ガレージの撤去・解体にかかる費用は、1坪あたり4万〜8万円が相場です。木造や鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)などの構造によって変動します。