リフォームの基礎知識と費用の相場

床のリフォームに必要な費用はどのくらい?相場と安く抑えるコツ

住まいの中でも床は、家族が長年にわたり暮らすことで特に傷みが気になってくる部分だといえます。床材に傷や凹みが生じてしまったり、食べ物などをこぼして汚れてしまったりすることもあるでしょう。また、経年劣化による変色のように、見た目や質感が変化するケースも少なくありません。さらに、床は面積が広い部分であるため、リノベーションでお部屋全体の雰囲気を大きく変えたいときに張り替えるのもおすすめです。

この記事では、そんな床リフォームの費用について解説します。床リフォームの費用相場から、できるだけ費用を安く抑えるコツまでご紹介するため、ぜひ参考にチェックしてみてください。

床のリフォーム費用を左右する要因

床のリフォーム費用は、床材の種類、リフォームする面積、施工方法などによって価格に差が出ます。予算に合わせて、どんなリフォームを行うのか検討すると良いでしょう。まずは、床のリフォーム費用を左右するポイントを解説します。

床材の種類

床のリフォームでは、まず床材の種類によって費用相場が左右されます。床材にはさまざまな種類がありますが、代表例としてフローリングの場合を見てみましょう。同じフローリングでも、「複合フローリング」や「無垢フローリング」といった種類別に費用相場に差が出ます。2つのうち費用を抑えやすいのは、複合フローリングです。複合フローリングとは、化粧材を貼り合わせた集成材や合板を指し、施工費用を抑えたいときにおすすめします。それに対して、無垢フローリングとは1本の木から削り出した板を使うものです。無垢材の素材感が魅力ですが一般的に相場が高く、木材の原料となる木の種類によっても価格に差が出ることを押さえておきましょう。

工法の種類

床のリフォームでは、主に「張り替え」と「重ね張り」という2種類の工法が用いられ、それぞれ費用相場や工事期間に違いがあります。このうち、金額が高いのは張り替えです。張り替えの工法では、既存の床材を剥がしてから新しい床材を張るのが特徴となっています。工事の際は初めに既存の床を解体する必要があることから、手間がかかる分費用が高くなり、さらに工事期間も長めになります。それに対して、重ね張りの工法は、既存の床材の上から新しい床材を重ねて張るのが特徴です。既存の床材を撤去しないため、解体の手間がかからず、工事期間も比較的短く済みます。ただし、既存の床材に重ねることによりリフォーム前よりも床が高くなるのが注意点です。

工事面積

床のリフォーム費用に大きく関わるのが、工事面積です。床リフォームでは、基本的に施工面積に比例して金額が高くなります。面積が広くなるほど、その分多くの材料が必要となり、工事の手間も増えるためです。広範囲をリフォームする場合は、金額が高くなり、かつ工事期間が長くなることに留意しましょう。床リフォームの金額の目安を知るには、まずどれくらいの範囲をリフォームする必要があるのか、お部屋や廊下の畳数を確認してみてください。なお、大型家具などの荷物が多いリビングや、調理の設備が設置されているキッチンのように、工事の手間がかかりやすい場所もあります。相場を調べるときは、リフォームを希望する面積に応じて、金額を概算してみてください。

床のリフォームの費用相場

ここでは、床材別のリフォーム費用相場をご紹介します。先ほどお伝えしたように、床リフォームでは工法や工事面積によっても費用に差が出ることから、以下では複数のケースの相場を掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。

フローリング

フローリングとは、木材で作られた床材のことを指します。化粧材を貼り合わせて作られる「複合フローリング」や、1本の木から削り出して作られる「無垢フローリング」などの種類があります。フローリングはお手入れがしやすい一方で、階下に音が響きやすい点に注意が必要です。

張り替え重ね張り
1畳3万~6万円2万~5万円
4畳7万~14万円5万~10万円
6畳9万~18万円6万~14万円
8畳10万~20万円8万~18万円
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

クッションフロア

クッションフロアは、シート状の塩化ビニール素材の床材です。耐水性があり、シートを敷いてカットするだけで簡単に施工しやすいという特徴があります。また、一般的に価格が安く、デザインの種類が豊富なのもメリットです。ただし、耐久性にやや劣る点や、湿気がこもりやすい点に留意しておきましょう。

張り替え重ね張り
1畳2万~6万円1万~4万円
4畳4万~8万円3万~5万円
6畳4.5万~10万円4万~5.5万円
8畳6万~12万円5万~10万円
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

フロアタイル

フロアタイルは、タイル状の塩化ビニール素材の床材です。高級感があり、タイルを1枚ずつ敷き詰めるような形で簡単に施工できます。既存の床材の上に敷いて使える手軽さも特徴です。安価でデザインが豊富な点が魅力ですが、タイルの隙間から水や汚れが入り込みやすいので注意しておきましょう。

張り替え重ね張り
1畳4万~7万円3万~6万円
4畳5万~9万円4万~8万円
6畳5.5万~10万円5万~6.3万円
8畳8万~15万円6万~10万円
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

カーペット

カーペットは繊維性の敷物です。インテリアとしても用いられますが、床全体に敷いて床材として用いられることもあります。柔らかい肌触りで、防音性があるのが特徴です。床の冷たさを軽減したり、ホコリが舞い上がるのを抑えたりできます。その一方で、汚れを落としにくく、掃除のコストがかかるのが難点です。

張り替え重ね張り
1畳1万~1.5万円8千~1万円
4畳5万~10万円4万~5万
6畳5.3万~12万円4.5万~6.5万円
8畳8万~16万円6万~12万円
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

リノリウム

リノリウムは、亜麻仁油・石灰石・木粉・松脂などの天然素材から作られた床材です。耐久性が高く、傷に強いというメリットがあります。また、近年は環境に配慮した床材としても注目を集めるようになりました。学校や医療機関などの公共施設でも用いられています。ただし、価格帯が高い傾向にあります。

本体費用張り替え下地補修重ね張り
1㎡5千~6千円3千~5千円1万~5万円1千~2千円
10㎡5万~6万円3万~5万円10万~50万円1万~2万円
20㎡10万~12万円6万~10万円20万~100万円2万~4万円
30㎡15万~18万円9万~15万円30万~150万円3万~6万円
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

畳は、「い草」という植物を編んで作られた、日本の住居で伝統的に使われてきた床材です。和室の代表的な床材として知られています。程よいクッション性があり、床に直接座って過ごせます。お手入れによって長く使えるのがメリットですが、そのためには定期的なメンテナンスの手間を考慮しなければなりません。

新調表替え裏返し
1畳1万~3.5万円5千~2万円約4千円
4畳4万~14万円2万~8万約1.6万円
6畳7万~20万円3万~12万円約2.4万円
8畳9万~28万円4万~16万円約3.2万円
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

床のリフォーム費用を安く抑えるコツ

床のリフォーム費用をできるだけ安く抑えるために、以下のコツを押さえておくと良いでしょう。リフォーム会社を比較検討するとともに、床材や工法の選び方に工夫してみてはいかがでしょうか。

複数の業者から相見積もりを取る

床のリフォーム費用は業者によって料金が異なります。そのため、できるだけ費用を安く抑えるには複数社の材料費や施工費をしっかりと比較することが大切です。工事費用の相場感を知る上で、相見積もりが参考になります。複数のリフォーム会社へ見積もり依頼を行うと良いでしょう。

安い床材を使用する

リフォーム費用を抑えるなら、クッションフロアやカーペットのようにリーズナブルな床材を選ぶのも一つの手です。一方で、安価な床材は長持ちしにくい傾向にあります。クッションフロアは傷や凹みが生じやすく、カーペットは汚れやへたりが目立ちやすいのが注意点です。

重ね張り工法を選ぶ

重ね張り工法を選択すれば、張り替え工法よりも費用を抑えて施工できます。ただし、重ね張りができるのは、既存の下地に問題がないケースのみです。下地の状態が悪いにもかかわらず重ね張りをすると、リフォームをしても現状を改善できないおそれがあるため注意しましょう。

補助金・助成金制度を活用する

自治体によっては、床のリフォームで使える補助金・助成金制度が用意されています。主に制度の対象となるのは、床の段差解消などバリアフリーを目的としたリフォームや、床下断熱など省エネを目的としたリフォームです。お住まいの自治体の制度を確認してみましょう。

他の箇所も同時にリフォームして値引きしてもらう

床暖房工事や床断熱工事のように、もともと別の工事の予定があるときは、同時に床リフォームを行うことで工事費用を抑えられます。別の工事で床材を剥がすついでに床材を交換することで、効率的にリフォームができるため、セットで依頼してみてはいかがでしょうか。

自社施工の工事業者に依頼する

自社施工とは、社内の職人が工事を担う仕組みのことです。下請け業者を経由しない分、中間マージンが発生せず、施工のコストを抑えられるというメリットがあります。また、自社施工では顧客と職人が直接連携しやすいため、速やかな対応が期待しやすい点も魅力です。

床のリフォームを検討する時期の目安

住まいの床をリフォームするタイミングは、床材の種類によって異なります。ここでは、床材の種類別にリフォーム時期の目安をご紹介します。ただし、場合によっては目安の年数を経過していなくてもリフォームが必要です。例として「床からきしむ音がする」「歩くと床が沈む」「床に大きな傷がついている」といった状況なら、できるだけ早めにリフォームを検討すると良いでしょう。

床材リフォーム時期の目安
フローリング15~20年
クッションフロア6~10年
フロアタイル6~10年
カーペット5~6年
リノリウム30~40年
裏返し:新調から4~5年
表替え:裏返しから4~7年
新調:表替えから10~15年

なお、畳の場合は「裏返し」や「表替え」のお手入れをすると、長い期間にわたり使い続けることが可能です。裏返しとは表面の畳表を裏返して畳縁を交換するお手入れ、表替えとは畳表と畳縁を交換するお手入れを指します。和室の畳を丸ごと新調する前に、裏返しや表替えによるメンテナンスを検討しましょう。

床のリフォームでよくある質問

最後に、床リフォームに関するよくある質問と、その回答をご紹介します。失敗しない床リフォームのために、ぜひアドバイスを参考にしてみてください。

床のリフォームはDIYできる?

基本的に、床のリフォームはプロの施工会社に対応を依頼したほうが安心です。自分で作業をすると、たとえ費用を抑えられたとしても、多くの時間と労力がかかります。それだけでなく、きれいな仕上がりが期待しにくいのが注意点です。特に、床リフォームでは壁と床が接する部分の仕上げ処理が難しい傾向にあります。また、万が一床下で下地が傷んでいた場合は、専門知識や技術がなければ修復できないおそれがあるでしょう。まずはプロにご相談ください。

床の一部だけを張り替えても良い?

床のリフォームでは、床材を一部のみ張り替えることも可能です。部分的に汚れや傷が気になるときは、張り替えを検討すると良いでしょう。例えばフローリングの場合は、既存の床材を一部分だけ撤去して、デザインや色味が近いフローリング材をはめ込むことで張り替えできます。ただし、一部のみ張り替えると、既存の床材と多少の色味や質感の違いが生じる可能性があるのがデメリットです。

床のリフォーム工事中の家でも生活することは可能?

リフォーム工事の内容や規模によっては、住まいで暮らしながらリフォームできる可能性があります。例えば、床リフォームの中でも重ね張りの工法であれば、比較的短期間で工事が完了するため家で暮らしながらリフォームしやすいといえます。その一方で、張り替えの工法を選択する場合やリフォームの範囲が広い場合は、基本的に仮住まいを利用するのが無難だといえるでしょう。

マンションや賃貸住宅でも床のリフォームをしても良い?

マンションや賃貸住宅では、事前に管理組合の許可を得れば、一般的に床のリフォームが可能です。その際は管理規約を確認の上、具体的にリフォーム可能な範囲を確認しておくと良いでしょう。また、マンションや賃貸住宅では、リフォームで使える床材の遮音等級が指定されている場合があります。集合住宅では、遮音性が一定の基準を満たした床材の使用が義務付けられることが多いのが注意点です。

床のリフォーム工事で追加費用がかかることはある?

床のリフォームでは、状況に応じて追加費用が生じる可能性があります。例えば、床材の張り替えをした際に下地の劣化が発覚して修繕が必要となるケースでは、下地処理の追加費用が発生します。このほかにも、床と壁の境目にある巾木を交換するケースや、断熱材を追加するケースなどで追加費用が発生することもあるでしょう。こうした追加工事の可能性を考慮しておくと安心です。