リフォームの基礎知識と費用の相場

お風呂のリフォームを上手に行うには?工事別の費用相場と補助金制度

「お風呂のカビや汚れが気になり、掃除の手間がかかる」「お風呂が狭くて寒いのをなんとかしたい」といった悩みは、リフォームをすることで解決できるかもしれません。設備を交換したり、補修したりすることで、温かく快適な浴室を作れるでしょう。今回は、お風呂のリフォームを上手に行うコツや、工事内容別の費用相場、利用できる補助金制度などをご紹介します。

お風呂の種類

お風呂は「ユニットバス」と「在来工法の浴室」の2種類に分けられます。お住まいのお風呂の種類によって、どのようなリフォームができるのかが変わってきます。まずは、お風呂の種類別の特徴やメリット・デメリットをチェックしていきましょう。

ユニットバス

ユニットバスは、工場生産された浴室の各パーツを、現場で組み立てる工法のお風呂のことです。床、壁、浴槽、天井などがひとまとめになっており、システムバスとも呼ばれます。決まったパーツを組み立てるだけで工事が完了するため、工期が短く費用も抑えやすい点がメリットです。さらに、水漏れの心配が少ないことや、断熱性が高いことも大きなメリットといえます。一方で、設計の自由度が少なくなる点はデメリットといえるでしょう。

在来工法の浴室

在来工法の浴室は、ユニットバスとは異なり、自由に材料を組み立てて作られます。例えば、タイル張りのお風呂やヒノキ風呂などは在来工法の浴室になります。デザインの自由度が高いため、こだわりのお風呂を作りたい方におすすめです。ただし、施工の際は職人の技術が必要になり、材料費も高くなる傾向にあります。ユニットバスより工期が長く、費用は高くなりやすいでしょう。

お風呂のリフォームを上手に行うポイント

お風呂のリフォームを成功させるためには、どのようなポイントに気をつけたら良いのでしょうか。こちらでは、お風呂のリフォームのコツをご紹介します。

リフォームの目的を明確化して、具体的な工事内容を決める

リフォームの目的をはっきりさせることで、行うべき工事の優先順位が決まります。使い勝手の悪さを改善したい、デザインを一新したい、新たな機能・設備を追加したいなど、リフォームしたい理由を考えておきましょう。機能やオプションを追加するほど費用は高くなるため、優先順位をつけておくことで依頼する工事内容を絞りやすくなります。

また、家族構成によってお風呂の利用頻度や、必要なスペースが異なる点も考慮することがポイントです。一緒に入るお子様がいる場合は広めの浴室があると便利でしょう。高齢者や要介護認定の家族がいる場合、手すりの設置やすべりにくい床材の採用などを検討することがおすすめです。

素材別の価格差を考慮する

リフォームは、使用する素材の種類によっても価格が左右されます。主な浴槽の素材にはホーロー・FRP・人工大理石・ステンレスなどがありますが、選んだ素材に応じて価格は変化します。基本的にはFRPやステンレスなどが費用を抑えやすいでしょう。リフォームを予算内で実施したい場合は、素材の価格差にも着目することがポイントです。

複数の業者から相見積もりを取る

最終的なリフォーム費用は、工事を依頼した業者によって変わります。1カ所でしか見積もりを取らないと他の業者の料金がわからず、相場よりも高額な費用でリフォームしてしまう可能性があります。複数のリフォーム会社へ見積もり依頼をして、納得のいく金額で工事してくれるところを探しましょう。

水回りのリフォームはまとめて行うほうが良い

トイレ・洗面所・キッチン・お風呂などの水回りは、一度にまとめてリフォームすることで費用を抑えられることがあります。水回りの設備がセットになった商品を販売している業者もあるため、一つひとつリフォームするより安価で工事できるでしょう。

また、まとめてリフォームすることで配管の補修なども効率よく進められます。工事期間の短縮にもつなげられるでしょう。

予算を決めておく

グレードの高い設備を選んだり、オプションを追加したりすると、リフォームの金額はどんどん上がってしまいます。事前にリフォームの費用相場を調べてから、予算の上限を決めておくことが大切です。リフォーム会社との打ち合わせで予算を伝え、金額内で収められるようにプランを組んでもらいましょう。

また、お風呂のリフォーム内容によっては、補助金・助成金・減税制度を利用できることがあります。リフォームにかかる費用を抑えるためにも、活用できる制度がないか確認しておくことがおすすめです。

お風呂のリフォームの費用相場

お風呂のリフォームでもっとも気になるのは費用という方も多いのではないでしょうか。こちらでは、主な工事内容別にお風呂のリフォーム費用相場をご紹介します。

【交換する浴槽の種類別】お風呂のリフォームにかかる費用の相場

交換する浴槽の種類費用相場工期の目安
ユニットバス→ユニットバス50万~150万円4~5日
在来工法の浴室→ユニットバス65万~200万円1週間
在来工法の浴室→在来工法の浴室50万~250万円2週間~1カ月 
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

ユニットバスからユニットバスへの変更は、もっとも費用や工期を抑えやすい方法です。在来浴室をユニットバスへ変える場合、既存のお風呂の解体が必要になり、価格や工期が長くなります。解体後に土台の腐植などが見つかった場合は追加工事も必要になることがある点に気をつけましょう。

在来工法の浴室を解体し、新しい在来工法の浴室を作るのがもっともコストがかかりやすい方法です。解体に加え、新しい浴室を作る作業にも多くの時間や費用が生じるためです。ただ、ユニットバスを導入する場合も、ハイグレードなタイプを選んだ場合は費用が高額になることがあります。

【工事の内容別】お風呂のリフォームにかかる費用の相場

工事の内容費用相場工期の目安
手すりの設置1万~5万円1時間
ドアの交換5万~15万円1日
内装(壁・床・天井)の張り替え10万~30万円1~2日
給湯器の交換10万~40万円2時間~1日
浴室暖房乾燥機の設置5万~40万円半日~1日
浴室用テレビの設置3万~15万円半日~2日
浴室の移動50万~250万円2週間~1カ月
浴室の拡張50万~250万円1週間~1カ月
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

手すり設置や浴室ドア・給湯器の交換などはそれほど工期がかかりません。選んだ商品によって費用が変動します。内装の張り替えも小規模な工事で済むため、1~2日で完了するでしょう。

浴室暖房乾燥機は後付け可能ですが、元のお風呂場の状態によっては設置費用が高額になるケースがあります。例えば、浴室に乾燥機がない場合は天井へ穴をあけたり、配線を通したりする工事が必要で、結果的に費用も高くなります。

浴室用テレビには壁掛けタイプや埋め込みタイプなどの種類があります。埋め込みタイプは壁に穴をあける工事が必要で、その分の費用や工期もかかります。

お風呂を拡張したり、住宅内の場所を移動させたりする工事は規模も大きくなります。解体や配管工事なども必要になると、費用も高くなります。予算内に収めるためにも、しっかりと相見積もりを取って相場を把握しましょう。

【建物の種類別】お風呂のリフォームにかかる費用の相場

建物の種類費用相場工期の目安
一戸建て100万~120万円4日~1カ月
マンション80万~100万円4日~1カ月
※費用相場はあくまで参考価格です。実際の費用はリフォーム時に必ず施工店へご確認ください。

一戸建てとマンションのお風呂リフォームは、費用に大きな差はないといわれています。ただ、一戸建ての場合は在来工法の浴室であったり、浴室が広めであったりすることから、マンションよりも費用が高くなりやすいようです。工期についてはリフォームするお風呂の種類によって変わります。

また、マンションの場合は管理規約次第で工期が変動する可能性があります。作業時間が厳密に決められていたり、搬入経路に制限があったりすると、作業効率が落ちて工期が延びてしまうでしょう。

お風呂のリフォームに利用できる主な補助金・助成金・減税制度

お風呂のリフォーム費用をなるべく抑えたい場合は、補助金や助成金、減税制度を活用することもおすすめです。こちらでは、お風呂のリフォームで利用できる主な制度をご紹介します。

介護保険での住宅改修費の支給

要支援および要介護の認定を受けた人の住む住宅改修の場合、介護保険から工事費用の一部が補助されることがあります。対象となる工事費用の上限は20万円です。お風呂のリフォームの場合、手すりの設置、ドアの交換、洗面所との床の段差解消などが補助の対象となります。

利用の際は、ケアマネージャーに相談して理由書を作成します。また、理由書に加えて、支給申請書、工事の見積書、工事の内容がわかる図面など必要書類を提出する必要があります。申請が通れば工事費用に対し7~9割を補助(所得に応じて1~3割を自己負担)されるため、必要に応じて活用することがおすすめです。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、国が実施している補助金事業です。耐震性や断熱性など、住宅の性能を高めるリフォームに補助金が支給されます。申請は基本的にリフォーム会社が対応するため、打ち合わせの際に相談してみましょう。

また、補助金を利用するためにはインスペクションと呼ばれる住宅診断を受けます。劣化や欠陥などが見つかったらその分をリフォームする必要がある点に留意が必要です。さらに、予算の上限に達した場合は受付終了となるため、早めに申請することがおすすめです。

地方自治体の補助金・助成金制度

都道府県や市区町村によっては、リフォームに関する補助金を設けていることがあります。お住まいの自治体の情報をチェックして、利用できる制度がないか調べてみましょう。

また、自治体によって制度の詳細は異なります。例えば、自治体内の業者を利用することが条件になっている場合、選んだ業者によっては補助金制度を利用できないことがあるでしょう。活用したい制度の条件は、事前にしっかりと把握しておくことがおすすめです。

所得税の控除

バリアフリーリフォームや省エネリフォームなど、特定の基準を満たすリフォームを行った場合、所得税の控除を受けられることがあります。リフォーム内容が控除対象に該当するかを確認してみましょう。利用の際は確定申告が必要です。

固定資産税の控除

リフォームの内容によっては、固定資産税についても減税されることがあります。工事完了後、すみやかに自治体への申告が必要です。所得税の減税とも併用可能な場合があるため、詳しい条件について調べておきましょう。

お風呂のリフォームの際によくある質問

お風呂のリフォームに際して、よくある質問をご紹介します。気になることがあればぜひチェックして、リフォームの悩みを解消しましょう。

お風呂は何年でリフォームすると良い?

お風呂リフォームのタイミングは15~20年ほどが目安です。その頃になると劣化により、設備が寿命を迎えていることがあります。さらに、20年経過すると浴槽の機能性・デザイン性が大きく進化していることも想定されます。リフォームで新しいお風呂にすることで、より快適に使えるようになるでしょう。

また、目安の期間が経過していなくてもリフォームしたほうが良い場合もあります。例えば、浴槽、浴室内部、コーキング材にひび割れがある場合はすみやかに補修したほうが良いでしょう。ひび割れから湿気が伝わって構造材が腐ってしまったり、水漏れしたりすることがあります。

以前よりもカビが生えやすくなっている場合もリフォームを検討することがおすすめです。掃除しても次々とカビが生えてきてしまう場合、壁や床などの内側にまでカビが侵入していることがあります。もしくは換気扇が劣化してうまく換気できていない可能性もあります。

ほかには、排水が流れにくくなっている場合もリフォームのタイミングかもしれません。蓄積した汚れによって排水溝が詰まり、流れが悪くなっていることがあります。

さらに、家族構成が変わったときもリフォームのタイミングといえます。育児や介護などに適したお風呂へ変えることで、家族全員が心地よいバスタイムを過ごせるようになるでしょう。

お風呂を含めた水回りのリフォームは、どこから行うのが良い?

日常生活のなかでも、特に使用頻度が高いのが水回りです。水回りにトラブルが起こると生活にも影響が出てしまうため、リフォームによって快適な状態を維持することがポイントです。

基本的にトイレ・洗面所・キッチン・お風呂の水回りは、まとめてリフォームすることがおすすめです。設備が特に劣化しているものを優先してリフォームしたほうが良いでしょう。故障や劣化などで不便に感じている部分も、優先的に改修することで使用時のストレスを解消できます。

お風呂のリフォームを避けたほうが良い時期は?

お風呂の工事期間中は、自宅で入浴できなくなります。近くの銭湯や温泉を利用することになるでしょう。汗をかきやすい真夏にお風呂をリフォームすると、頻繁にシャワーを浴びることができず、不快に感じてしまうかもしれません。冬場は銭湯への行き来で湯冷めしてしまうことも考えられます。気候の穏やかな春や秋にリフォームしたほうが、入浴に関する問題も起こりにくくなるでしょう。

ただ、春秋は工事依頼が集中しやすく、場合によっては希望のスケジュールでリフォームできない可能性がある点に注意が必要です。早めにリフォーム会社へ相談して、余裕を持ったスケジュールでリフォームを進めていきましょう。